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中小事業におけるデジタル化の波

May 3, 2020 By Shivani Gopalkrishna

先月4月21日、Facebookはインドの革新的な通信企業であるReliance Jioへ57億米ドルの投資を発表し、同社の少数株(9.99%)を取得しました。 このニュースはビジネス界で大きな関心を集め、分析されました。その結果、この投資には以下の2点が特に重要であるといわれています 。

  • 現状の危機を乗り越えることがあらゆる中小企業にとって新たなビジネス拡大のきっかけとなる
  • アメリカの有力テック企業はインドのオンラインエコシステムに進出の競争が激化する

コロナウイルスの拡大によって生じる危機は特に中小企業へ悪影響を及ぼすと考えられています。この状況下でFacebookとJioのパートナーシップは、小売業界に必要な刺激となる可能性があります。Facebookの他、Google、Microsoft、Amazon、Ciscoのアメリカのテック企業は、インドの大手サービス企業との連携や起業家の育成の為の投資ファウンドの設立で、莫大な需要が望めるビジネスチャンスを掴もうとしています。

世界一のインターネットユーザー数を誇るインドでは、中小企業のデジタル変革が加速しています。


国の中心となる中小事業のキラナ店舗


インドには6000万の中小企業があると言われています 。その多くの事業は未組織の小売業界である日用品のキラナ店舗または生活用品の店舗です。全国にある約1500万のキラナ店舗は、 その地域の日常品のニーズを満たし自宅までの配送サービスも提供しています。

現在コロナによる異常な状況では、日常品をオンラインで購入する人が急増しています。しかし、E-コマース事業に大きな刺激を与えている一方、ロックダウンによる困難または物理的な不足がE-コマース事業の弱点を明らかにしています。 キラナ店舗は各近所にあるため、配達に関してラストワンマイルの物理的なハードルを超えることができます。こういった環境の中、Reliance Jioの食料雑貨事業JioMartとFacebookが運営するチャットアプリのWhatsappの間の連携はとても面白い試みです。

ユーザーは、Whatsappチャットアプリ内でJioMartの商品を注文し、JioMartによってその注文を最寄りのキラナ店舗に割り当てられ、請求書をWhatsappで発送します。この仕組みによってユーザーを最寄りのキラナ店舗とオンラインで繫がることを可能にしています。将来、商品の注文から決済に至るまでをWhatsappチャットアプリ内で完了することを目標しています。このようにWhatsappの非常に高い普及率(インドでは4億人が利用)を活かしてキラナ店舗のデジタル化が行われています。顧客が中小事業につながり、商品をオンラインで閲覧すること、商品に関する質問の回答を得ること、また支払いもオンラインで可能にすることでスマホでのシームレスのデジタルショッピング体験が実現します。

Reliance JioとFacebook、大手の両社は取得している巨大なユーザーベースにその他サービスを販売するチャンスを手に入れる上、消費者行動データの貴重な源となると予想されます。同様にその他の大手テック企業、アメリカの有力企業もインド社会・中小企業にデジタル変革をもたらしています。


世界一のデジタル市場を開拓するアメリカのテック企業


NASSCOM (全国ソフトウェア・サービス企業協会)のクラウド・サービス市場についてのレポートによると、2022年までにインドのクラウド市場は70億米ドルの価値を超え、SaaS市場も35億米ドルに達すると予測されています。インドにおけるデジタルサービスの迅速な採択の継続は、以下の企業活動の成果だと考えられます。

Google

通信企業Airtelとパートナーシップを構築し、Airtelのクライアントである2,500大手企業、また50万の中小事業のスタートアップに、グーグルドキュメント、ドライブ、カレンダーといったグーグル・クラウドのサービスを提供しています。事業のデジタル変革を促し、GSuiteによる協調ツールと生産性ツール、そしてAirtelのデジタルビジネスサービスは中小事業におけるデジタルイノベーションを実現しています。

Amazon

今年1月にAmazon創立者ジェフ・ベゾス氏はインドに訪ねた際に、インドの中小事業に10億米ドルを投資すると発表しました(当時、インドの商人組合がAmazonの略奪的価格設定へ抗議を行いました)。その投資は中小事業のデジタル化を促進し、より多くの顧客を引きつけ現地生産の商品の輸出を促すことが目的です。

Microsoft

MicrosoftはReliance Jioとの戦略的連携を図って10年間に渡るインド社会のデジタル変革を促進する予定です。それは通信ネットワークへの接続性をはじめ、コンピューティング、ストレージソリューション、及びその他サービス・アプリケーションの提供です。そしてMicrosoftのAzureクラウドサービスを活用するためにReliance Jioと共に全国にデータセンターを設立します。更にJioはMicrosoftのクラウドとプラットフォームサービスをスタートアップに無料で提供し、中間企業に定額の料金を徴収します。また、ヴォイスとコンピュータービションの統合的なサービスをインドの主な言語で開発する予定があり、より多くのユーザーが活用することを可能にします。

Cisco

2019年にアメリカの通信機器メーカーCisco社は、インド通信企業Airtelと共に中小企業へネットワーク接続性のソリューションを提供しました。同連携ではAirtelによってSD-WANネットワークがCiscoのプラットフォーム上に開発され、集中制御であるポリシー及び一般的な管理によって中小企業のデータフローが最適化されました。


インド経済の急速なデジタル化につれて、中小事業のニーズが進化しています。アメリカのテック企業は中小事業が抱くビジネスの可能性に対して熱心に答え、革新的なパートナーシップを構築し、デジタル変革を推し進めるためにあらゆるツールまたはサービスを提供しています。そしてそれは同大手テック企業にとっても大きな利益を生み出しています。インドの中小企業にサービスを提供しながら、彼らの数億人にもなる顧客の消費パターン(超ローカルの)のデータを解析し、それはデジタル広告ビジネスの貴重な収入源となり、また新たなサービスにつながると考えられます。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


参考資料:

Facebook’s investment in Jio takes on US tech firms betting on India. April 22,2020 

Google partners with Airtel to offer G Suite to small, medium businesses. January 20,2020  

Jio and Microsoft announce alliance to accelerate digital transformation in India. August 12, 2019

Header Image: Shutterstock.com

ユーザーリサーチの説得力

June 7, 2019 By Shivani Gopalkrishna


下記ページから、Googleのユーザーリサーチ調査に参加できます。Googleの製品や機能についての感想を伝えることが可能です。
https://userresearch.google.com

Google地図の事例

デザイン×テクノロジーの境界線で活躍し続けてきたジョン・マエダの言葉です。

The business opportunity for the future thinking designer is inclusion.

John Maeda

Googleは「次の10億ユーザー」を引き込むために多様性があるユーザーをプロダクト設計のプロセスに参加させ、包括的なアプローチを採用しています。インドに行う同社のユーザーリサーチについて説明します。

インドは、Googleのユーザーデータによると、世界最大の二輪車市場です。そのインドで、モーターバイカーがGoogle地図アプリを平均30秒程度で閉じてしまい、活用が進んでいないことが明らかになりました。もともとカーナビとして設計された地図アプリが、広がりつつある新興国のユーザーになぜ好ましくないかの問いへの、答えを見つけるため、インドとインドネシアにエンジニア、UXデザインナ、リサーチャー、プロダクトマネージャー、マーケッター含めた多様なリサーチチームを派遣しました。

ユーザーの環境に没入してリサーチを行った結果、もともとの仮説(ユーザー行動、プロダクトの利便性に関する仮説)は間違いだったと気がつきます。

Googleのリサーチチームはインドのバイカーをインタビューし、一日の生活のパターンの把握につとめ、渋滞が激しい環境でのバイクの乗り方を理解するために乗車風景を撮影しました。遠く離れたプロダクト開発チームが、バイカーが日々どのような生活環境のなかでバイクに乗っているのかを深く理解できるよう、綿密なユーザーリサーチを行ったのです。

結論として明確になったのは、バイカーは二輪車に乗る前に地図アプリを見て方向や目印を覚えるので、その利便性を高めると有用だということ。また、乗車中に活用できる、路線や到着時間の音声ガイドが必要になること。

豊かなユーザーインサイトよりGoogleの地図アプリの改善が行われました。地図アプリに「バイカーモード」を導入したのです。バイカーの利用を意識したインターフェイスは、目印をハイライトするよりシンプルなデザインに変更。渋滞を避けるための代替路線を提示するといった機能も搭載されました。バイカーモードは南米、東南アジア、などでも導入し、500万人のデイリーユーザー数を達成しました(バイカーモードの導入の前、地図アプリのデイリーユーザー数は100万人でした)。

こちらのリサーチプロジェクトについて書かれているGoogleデザインの記事「Designing Maps for Motorbikes」にはユーザーのローカルコミュニティーに入り込み、ユーザーとなる人々と共感し合える関係を築くことはより優れたプロダクトおよびより包摂的なサービスの開発につながると強調されています。

Googleは新興国ユーザー向け地図アプリの他、決済アプリのTez(インド専用)、モバイル定額料金利用が多いことに配慮しYouTubeの仕様を最適化し、オフラインウェブ検索などのローカル化といった新たなサービスが開発されており、同社の「次の10億人」市場を動かしています。

新興国の経済成長と共に、あらゆるユーザーを考慮に入れて包摂的なプロダクトをデザインする必要があります。テックプロダクト以外のサービス・商品の販売においても、対象となる消費者の生き方、環境、ニーズ、希望、直面する課題などを理解することが重要です。

変化が激しい多様性があるインドでの、様々なユーザーを重視するユーザー・エクスペリエンス・リサーチはマーケットのさらなる理解につながります。ユーザーが存在する「文脈」から引き出すインサイトはビジネスのプロダクトの設計の他、ブランド戦略、マーケッティング・コミュニケーションの指針となります。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

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