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Shivani Gopalkrishna

Ather Energyが導くインドの有望な電動バイク産業

July 25, 2019 By Shivani Gopalkrishna

世界3位の自動車市場であるインド。しかしながら電気自動車(EV)の導入は圧倒的に遅れています。今年に入り、ようやくEV業界に進展が見え始めました。電気自動車より先にEVの二輪車、三輪車、交通機関のバス、共用タクシー、農業用自動車の導入が2年内に実現されると予測され、好ましいマーケット状況によってますます成長していくと見込まれています。更に排出ガスを15%削減すると期待されています。

電動スクーターの登場  

電動スクーター Ather 450

2013年に立ち上げられた Ather Energy(以下Ather)は、インド初のインテリジェント・エレクトリック・スクーターを創り出しました。2018年の9月に電動スクーターの二つのモデルが南インドのバンガロールに登場し、今月にはチェンナイに導入される予定です。インドでは現時点で1000台の電動スクーターが走り、公共の充電ネットワークであるAther Grid も整い始めています 。更にAtherは大手EC事業Flipkartのファウンダー、大手二輪車企業Hero Group、そしてVCのTiger Globalから総額9100万米ドルの資金を調達し、250人のエンジニアを採用するなど積極的に事業拡大を行なっています。

上のモデル450の電動スクーターは時速80kmで走り、満充電での走行可能距離は75 kmです。時速ゼロから40 kmまで3.9秒で加速し、リバース走行の機能により簡単にパーキングが可能です。同品に搭載されているタッチスクリーンダッシュボードはモバイルアプリとの連携によって二輪車の安全をモニター、機能の操作やソフトのアップグレードが可能です。またAtherはユーザーの満足度を非常に重視しているので、フィードバックによりユーザーから要望の高い機能を提供するようにしています。暗い環境ではヘッドランプが20秒後に消灯する機能が例に挙げられます。そして、消費者を惹き付けるために革新的な購入プランや、リース契約のオプションも提供しています。

ショッピングモールや公共駐車場などに設置されている公共の充電ネットワーク(現在バンガロールに31箇所あるAther GridはAtherのスクーターだけに限らず、ファストチャージ(高速充電)で1時間に電池80%の充電ができます。充電の決済はスマホアプリで行えます。

バンガロールにあるEV充電箇所。政府または企業によって充電インフラが進んでいます。

20代後半のAther創立者の二人は、インド工科大学(IIT)チェンナイ校の機械工学部の卒業生です。 試作品は 2年前に仕上がっていましたが、ゼロから製品を設計構築することに拘ったので予定より 多くの時間がかかりました。その結果としてインドの需要を完璧に満たした製品を提供することに成功しました。

郵送手段4分の3は二輪車であるインドでAtherは大胆かつ斬新なEV市場を開拓しています。下記に記述する通り、現在の市況は電動二輪車の到来を告げています。

EV二輪車を促進する市場環境

  • インドの巨大な二輪車市場

インドの乗り物・自動車業界の統計によると2017年に2500万台が販売され、その内2000万台は二輪車でした。世界で最も大きい二輪車市場はインドであり、インドの二輪車企業は国内市場に留まらず、東南アジア、アフリカ、そして南米にまで拡大しています。インドには活発的な二輪車市場に魅力的な製品を提供するための、部品の生産・組み立て・開発能力が備わっていると考えられます。更にスケールメリット(規模の経済性)を活かして供給の基盤を作り、製品開発の強化が実現すれば、インドが世界の電動二輪車業界をリードする可能性が大いにあります。

  • 研究開発能力があるエコシステム

電気自動車バッテリーの研究で有名 なインド工科大学(IIT)チェンナイ校にある Centre for Battery Engineering and Electric Vehicles が、バッテリー開発をはじめバッテリーの再利用、充電インフラ開発といった研究プロジェクトを行なっています。同センターはインドの大手 OEM の Tata Motors, Mahindra & Mahindra, Ashok Leyland, Kineticなどと共同研究を実施しています。IITチェンナイ校は Ather Energy の他、リチウムイオン電池開発のスタートアップ Grinntech のような先端技術スタートアップを世に生み出す役割を果たしています。

  • ITの活用

GPS機能のスマホ、モビリティアプリ、自動車データ収集・分析といったITの活用によってEVはより効率的に運転します。EVに関わる変動費の削減につながる上、固定コストを補うことができます。そしてEVからデータ収集、行動履歴やフィードバックは技術やユーザー満足度の向上に繋がります。ユーザーはスマホからの自動車の操作や電池のモニターなど便利な機能を利用できます。優れたIT業界のノウハウを活かすことが大きなメリットをもたらしています。

  • 政府の対策

中国の 大成功したEV普及政策を参考にして、インド政府もEV業を促進するための取り組みを強化しています。FAME (Faster Adoption and Manufacturing of Hybrid and Electric Vehicles)という名の取り組みでは、政府は2022年までに14億米ドルをEV製造・利用を促す政策、または充電インフラに投資すると発表しています。交通機関に電動バスを活用することを重視しています。また、7月に発表した年度予算でインド政府は、EV購入を促すために購入者にいくつかの免税を与え、月払いを奨励しています。さらに銀行もEV購入に向けたサポートプランを提供しています。

今後小型車(二輪車・三輪車)に活用する小型電気バッテリーの革新が拍車を掛け、インド企業は電動二輪車・三輪車の製造でリーダーシップを発揮すると考えられています。

大手自動車メーカー、バッテリーメーカー、スタートアップ、エネルギー企業はインドのEV事業に取り組んでいますがハードルはいくつかあります。インドでは比較的安いディーゼルエンジン自動車と天然ガス自動車が激しい競争しています。EV自動車の電費がディーゼル自動車の燃費と並ぶのは2020代半ばになると見込まれています。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

インドのスマホデータ通信量が世界一位に

July 15, 2019 By Shivani Gopalkrishna

データ通信量の成長トレンドが継続

インドで次世代の携帯電話サービスが予想より速く導入されているといわれています。内線電話がまだ全国に普及していなかったにも関わらず、携帯電話の普及率は大幅に増え続けています。通信機器・ネットワーク企業のエリクソン社(以下Ericsson)が6月に公表した2019年版の「モビリティー・リポート」によると、インド領域(ネパール・ブータンも含め)の 携帯電話購入者の総数は、2024年には11億人に達すると予測されています。

高技術への移行が進み続ける

出典:Ericsson Mobility Report 2019

上記の表はエリクソン社のレポートのデータです。

インドにおける携帯電話利用者の増加現象は下記のように理解できます。

  • GSM携帯電話(2G)は2018年に市場の47%を占めている
  • スマホ・LTE技術は年々普及し2018年末に市場の38%までに拡大、2024年末には市場82%に達すると期待されている
  • モバイル・ブロードバンドは加入件数の50%を占めている
  • 5Gサービス は2022年の導入を期待されており、2024年末までに市場の6%を占めると予測されている

なお、2019年第一四半期にインドの携帯電話加入者数が前年比で1400万人減少しました。大手通信企業の数会社が、客単価を上げる目的で低額プランの加入者へ(プラン利用に関わらず)ミニマム料金を請求したことが原因と考えられています。

動画配信サービスの影響

2019年の第一四半期に世界におけるデータ通信量は82%に増加しました。原因としてはインドにおけるスマホ新規加入者の増加、または中国におけるスマホ一台当たりの月間データ通信量の増加が考えられます。

出典:Ericsson Mobility Report 2019

レポートによるとインドは世界最大のスマホ の平均月間データ通信量を占め、2018年のスマホ の平均データ通信量は9.8GB、2024年末には11%の18GBに増加すると述べられています。2位は北東アジアの地域で2018年末の平均データ使用量は7.1GB。インドにおけるデータ消費はReliance Jioが提供される低額スマホ料金プランまたは若者によるオンライン・ビデオ利用の傾向を反映していると考えられます。

5Gサービスへ

インドの通信大臣は年内に5Gスペクトラムのオークションを開催すると約束しています。オークションではインドの通信ネットワーク企業Reliance Jio、 Airtel、Vodafone Ideaの他Samsung、NokiaまたはEricssonの参加が決定されている一方で、フェアウェイの参加はまだ未定です。

Ericssonレポートに取り上げられる5Gサービスへの希望についての消費者調査結果に よると、インドのスマホユーザーの多くは、5Gサービスを利用するためにプレミアム料金または通常より66%値上りした料金 を支払う意思があり、 さらに国が5Gサービス開始後の半年以内に契約している通信サービス会社が5Gサービスを提供しなければ、 5Gサービスを利用可能な会社へ変更すると述べています(インドでは通信サービスのあらゆる契約があり、プリペイド契約の場合は通信業社を簡単に変更可能)。

Reliance Jioは5Gサービスの導入と共に、同ネットワークが利用可能なスマホを販売するといわれています。低額4Gサービスやスマホの登場によって「モバイルの革命」をもたらしたReliance Jioは、ブロードバンドや5Gサービスにおける更なる革新を期待されています。


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インドの「クリーンエネルギー」移行の現状と勢いとは

July 9, 2019 By Shivani Gopalkrishna

インドにおける大気汚染や産業汚染、野焼きの課題は、いまや世界中に知られるところとなりました。首都のニューデリーをはじめインドの大都市では、大気汚染は深刻な課題であり、市民の日常生活にも大きな影響を及ぼしています。

インドでは経済成長と共に都市化が進行し、電力の供給と需要も拡大の一途を辿っています。一方で、エネルギー効率の改善および再可能エネルギーの進歩によって、電力の減少も生じているため、エネルギー消費のパターンは複雑になっています。

こちらの記事では最新エネルギー消費のデータを取り上げながら、エネルギー政策の影響を考え、今後、エネルギー源として働く「再生可能エネルギー・エネルギー効率」に関する大規模なビジネスチャンスを浮き彫りにします。

インドのエネルギー消費概況

国際エネルギー機関(IEA)の年次レポートによると、インドと共に米国と中国は世界エネルギー需要増大の70%を占めています。下記の表をご参照ください。

出典:International Energy Agency. Global Energy and CO2 Status Report. 2019年3月

同レポートでは、地域ごとの燃料消費または炭素放射量の増加率も取り上げられ、インドの電力消費の伸び率と主な原因を下記のようにまとめています。

出典:International Energy Agency. Global Energy and CO2 Status Report. 2019年3月.
   [*]:Climatescope, 2019

再生可能エネルギーが「有望」であるワケ

2015年のパリ協定(COP21)に締結したインド政府は、2022年までに容量175ギガワット(GW)の再生可能エネルギーを開発すると発表しました。目標再生可能エネルギーの容量の内訳は下のテーブルのようです。

7年間に再生可能エネルギー容量を4倍に増大することは野心的な目標であるとの指摘も有りますが、世界の最も競争力の強い入札であるインドの再生可能エネルギー市場は絶対的には驚くほど良い成果を挙げています。 

2017年にインドの太陽エネルギー市場は2倍に拡大し、毎年8GWの光発電能力容量を構築しています[2]。これは記録的な数値です。太陽エネルギーは、再生可能エネルギー移行における目標容量の大部分を占めています。現在では、新しい石炭プラントよりも、大規模太陽発電所への投資が増えています。しかし、消費者による屋上太陽光発電システムの設定は、約2.5GW。近い将来に40GWの目標に届かないです。下記の表は再生可能エネルギーの目標と実際の設備容量を比較しています。

出典:2018年末報告書 (Ministry of New and Renewable Energy, Press Information Bureau, Government of India)

途上国におけるエネルギー移行については、エネルギー界の研究機関ブルームバーグニューエエナジーファイナンス(BNEF)より発表された「Climatescope」レポートも参考になります。同レポートによると2017年には、世界中ほとんどのゼロカーボン電力容量は途上国で構築されており、新しい石炭プラントは低下傾向だとの指摘があります。インドでも、新しい石炭容量の構築は2012年~2016年の間は毎年17GW容量追加されていましたが、2017年には4GW容量追加に低下しています。

2022年の再生可能エネルギー利用目標を達成するため、インド政府の新エネルギー・再生可能エネルギー省は太陽光プロジェクト向け80GWまたは風力プロジェクト向け28GW、2つのプロジェクトにおいて入札を行うと発表しました。インド市場のプレイヤーは価格に非常に敏感です。インドは、再生可能エネルギープロジェクトの競争が非常に激しい国として知られています。オークションの各ラウンドに参加する事業者数は、大幅に募集枠を超えていて、わずか数ルピーの差で勝者と敗者が決定されてしまうのです。この激しい競争環境のもとで、再生可能エネルギー開発は急成長し、また低価格を実現できるため、2027年までの再生可能エネルギー容量の目標を215GWに設定し、石炭の容量を11GWに削減することができると考えられているのです。

出典:Climatescopeレポート、Press Information Bureau

目標達成に向けてインド政府は既存のクリーンエネルギー政策の向上、または、再生エネルギーオークションのプロセスを強化しようと尽力しています。上記の表が示しているように本年度と2020年度には、太陽エネルギーと風力エネルギーのオークションを増強する予定です。

エネルギー節約からエネルギー効率へ

エネルギー効率の促進に向けて、インド政府の最も成功した政策は「UJALA」です。2015年にローンチした取り組みで、LED電球を普及させるため、電力省が管理する公営企業の合弁企業、エネルギー効率サービス企業、Energy Efficiency Services Limited (EESL) 、は膨大なLED電球の購買活動によって、価格を大幅に引き下げました。「UJALA」取り組み以前には、LED電球は310ルピーだったものの、現在政府の助成金も含めて85ルピーになっています。

「UJALA」取り組みはLED電球利用の普及に、大きく影響しました。大規模購買契約が提供されたことで、エネルギー事業者は規模の経済の恩恵に目覚め、価格の引き下げを促進、エネルギー効率の改善を実現します。

全国分散型のLED電球のダッシュボード(http://ujala.gov.in/) . 2019年7月9日現在、3億5千万件LED電球の分散によって一年間に45億kWhのエネルギー節約に繋がる。

2018年に世界銀行は、エネルギー効率サービス企業より「エネルギー効率スケール・アップ・プログラム」に3億米ドルを投資しました。このプログラムは、「融資、国民意識、技術的なまたは容量的なハードル」の課題に取り組み、エネルギー効率改善のための仕組みづくりのために設定された、2030年までの炭素放射削減目標実現に向けた政策の一つです。

火力発電所、肥料産業、セメント業のようなエネルギー集約型の産業におけるエネルギー効率を促進するために、市場全体としてのエネルギー効率交換システム「PAT」も注目を浴びています。PATとは、「実行 (Perform)・実現 (Achieve)・交換 (Trade)」の略。エネルギー消費を削減するために節約されたエネルギーを、市場ベースのメカニズムを活用して、過剰エネルギーの交換ができる取り組みです。一石油換算トンで計算し、節約できたエネルギー量を数値化して認定エネルギー監査員より「エネルギー節約証明書」が交付されます。節約量の目標を超えると組織は証明書を入手します。節約目標を達成できなかった組織に証明書を販売する、または将来の目標の達成に向け活用することもできます。

PAT取り組みの第一フェーズは終了し、エネルギー効率を促進する取り組みとして良いスタートであると評価されている一方、第二フェーズでは取り組みの透明性を向上させることや、エネルギー節約を実現するため規則を厳格化し適用していくことも求められています。

エネルギー産業におけるビジネス機会

人口や国の経済規模によって世界的に炭素放射を減少させていくという議論において、インドのエネルギー戦略は重要です。経済発展の実現し、また増加し続ける人口に対応していくためには、エネルギー消費削減の限界やハードルがあります。数的な目標を達成しているかどうかより、業界におけるトレンドを理解することが重要です。以下のように市場のトレンドをまとめています。

市場全体のトレンド
  • 民間企業の参入によってエネルギー市場は活性化する
  • 世界銀行の見通しによるとインドのエネルギー効率市場は毎年120億米ドルで評価されている
  • 発電容量は加速し、電力供給ポテンシャルは経済的な需要を上回る
  • 低価格によるプレッシャーは技術、調達活動、設立に影響を及ぼす
  • 融資メカニズムの強化が必要である
  • 新しい産業を生み出す
  • 電力量計(メーター)・消費データにおけるイノベーションは電力需要に影響する
  • 新しいビジネスモデルは既存のエネルギー市場を一変させる

以下の通り期待できる技術・産業・取り組みであり、今後同産業の進展を追跡して行きたいと思います。

注目を浴びている産業・取り組み
  • 電気自動車(二輪車)+ 関連の技術、インフラ
  • スマートエネルギー供給網の技術
  • 海外出資を促進する取り組み
  • ビル建築業界におけるクリーンエネルギーの参入
  • 非常にエネルギー効率の良いエアコン+その他電気製品(天井ファン、冷蔵庫など)
  • 非常にエネルギー効率の良い農業用ポンプ、トラクター、産業用モーター

インドは経済の発展によるプレッシャーが上昇する一方、再生エネルギーおよびエネルギー効率における進歩は称賛に値すると、あらゆる専門家が唱えています。この先数年にわたってインドのエネルギー産業はますます高度化する見込みです。


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参考資料:

  1. International Energy Agency. Global Energy and CO2 Status Report. March 2019.
  2. Bloomberg NEF. Climatescope. November 2018.
  3. Tongia, Rahul. Understanding India, its energy needs and ambitions, and the global implications for carbon emissions. September 18, 2018.
  4. Word Bank. Press Release. August 2018.

インドのインターネットユーザーが爆発的に急増中

July 4, 2019 By Shivani Gopalkrishna

著名なベンチャーキャピタリストであるメアリー·ミーカー氏が、6月にシリコンバレーで待望の「Internet Trends 2019」レポートを発表。その興味深い報告書は、インターネットのアクティブユーザーが2018年の時点で世界人口の51%である38億人に達し、前年比で増加していると述べています(前年は世界総人口の49%である36億人)。

世界のインターネット利用者数のうち、中国が世界一の21%を占め、次にインド12%、そしてアメリカ8%と並びます。下記の表を見ると中国と特にインドは、まだインターネット普及率が低く、アメリカと比べ今後の成長の可能性を期待されています。

出典:Internet Trends 2019

「Jio」がインドに起こしたデジタル革命

石油から小売に至るまで幅広い事業を展開するリライアンス·インダストリーズ。

その社長である大富豪ムケシュ·アンバニ氏は、2016年に「リラインス·ジオ」(以下「Jio」)を設立し、デジタル業に参入しました。350億米ドルを投資し、まだ道路がない地域も含めインド全域を、初の4Gネットワークで覆うことを始めました。最初の時点では無料電話とメッセージ、または無料データ使い放題プランを提供し、半年後にそのサービスを低価格で販売しました。通信業界の平均の4分の1の価格でサービスを提供することにより、遅れて市場に導入されたJioは、インドにおけるデジタル革命を引き起こしています。Jioはヒンディ語で「生きる」を意味します。「我々は通信企業ではなく、デジタルプラットフォームを構築しています。

ミーカー氏のレポートでは、Jioの登場以来インターネットの普及率が急増し、2019年にデータ利用は約18エクサバイト (EB)で、前年の倍になったと述べています。ネットワークのインフラの整備をものともせず、Jioにより映画、音楽、チャット、決済、ニュース、ファッション、多岐にわたるアプリが存在します。ミーカー氏によるとリライアンス社はオンラインとオフラインリテイル(小売)プラットフォームのハイブリッド事業の創業によって、実小売店舗とデジタルのインフラサービスを繋げ、加入者は3億人に上り、一年間でユーザー数を倍に増加させるという業績を達成しました。

アンバニ氏はJioの創立以来こう語ります「我々は通信企業ではなく、デジタルプラットフォームを構築しています」。昨年8月に行われた株主総会では、Jioの可能性について次の通りに説明しました。「同プラットフォームは、リライアンス·リーテイル店舗に3.5億人の顧客、3億人のJio加入者、そして全インドにいる3,000万人の小売商人を繋げます」。アンバニ氏はインフラを整備し、サービス業界の中心人物になると考えられています。

Jioは数億人に安いインターネットサービスを提供しながら、世界のテクノロジー、そして小売企業に市場を開放し、そればかりでなく低所得層者のための商品も開発しています。低額データを利用するための低額Jioスマホ(約1,000円)を販売し、読み書き能力のない人が、音声機能やスワイプで使用できるアプリも開発されています。これによって富裕層と低所得の格差を縮め、デジタル世界へのアクセスを広げています。

関連記事:低額モバイルデータによるパラダイムシフト

Jioが与えるインパクト

Jioが与えるインドの著しいデジタル化への影響を理解するために、ミーカー氏のリポートの他、米経済誌のウォールストリートジャーナルの記事、YoutubeまたはGoogleのインド展開にまつわるニュースを参考し、以下のようにまとめました。

  • 月間データ量は570%に上がる
  • インドでのインターネットユーザー数、そしてGoogle Playストアのアプリのダウンロード件数はアメリカでのダウンロード件数を上回る
  • Jioのスマホはフィーチャー・フォン市場(スマホの下に位置する中位の携帯電話)47%を獲得し、販売シェアでサムソン社を抜く
  • E-コマースの爆発的な成長を引き起こしている
  • Youtube, Netflixのユーザー数は5億人達成し、低額スマホで利用できるようになり、今後間違いなく映像配信は中心になる
  • 地域の多様な言葉でサービスを提供することが重要になる
  • 読み書き能力のないユーザー向け直感で理解できるスマホまたはアプリの開発することが重要になる

予想外にJioはインドに大きな転換をもたらしています。ブロードバンドサービスも提供し始め、デジタルサービス業の急上昇の上、海外または国内のスタートアップ・テックエコシステムにも極めて有益であると思われます。


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参考資料

  1. Internet Trends 2019. Meeker, Mary. June 2019.  (Pg 11, Pg 62-63).
  2. Two Years Ago India Lacked Fast, Cheap Internet – One Billionaire Changed All That. Wall Street Journal, September 2018. 

ユーザーリサーチの説得力

June 7, 2019 By Shivani Gopalkrishna


下記ページから、Googleのユーザーリサーチ調査に参加できます。Googleの製品や機能についての感想を伝えることが可能です。
https://userresearch.google.com

Google地図の事例

デザイン×テクノロジーの境界線で活躍し続けてきたジョン・マエダの言葉です。

The business opportunity for the future thinking designer is inclusion.

John Maeda

Googleは「次の10億ユーザー」を引き込むために多様性があるユーザーをプロダクト設計のプロセスに参加させ、包括的なアプローチを採用しています。インドに行う同社のユーザーリサーチについて説明します。

インドは、Googleのユーザーデータによると、世界最大の二輪車市場です。そのインドで、モーターバイカーがGoogle地図アプリを平均30秒程度で閉じてしまい、活用が進んでいないことが明らかになりました。もともとカーナビとして設計された地図アプリが、広がりつつある新興国のユーザーになぜ好ましくないかの問いへの、答えを見つけるため、インドとインドネシアにエンジニア、UXデザインナ、リサーチャー、プロダクトマネージャー、マーケッター含めた多様なリサーチチームを派遣しました。

ユーザーの環境に没入してリサーチを行った結果、もともとの仮説(ユーザー行動、プロダクトの利便性に関する仮説)は間違いだったと気がつきます。

Googleのリサーチチームはインドのバイカーをインタビューし、一日の生活のパターンの把握につとめ、渋滞が激しい環境でのバイクの乗り方を理解するために乗車風景を撮影しました。遠く離れたプロダクト開発チームが、バイカーが日々どのような生活環境のなかでバイクに乗っているのかを深く理解できるよう、綿密なユーザーリサーチを行ったのです。

結論として明確になったのは、バイカーは二輪車に乗る前に地図アプリを見て方向や目印を覚えるので、その利便性を高めると有用だということ。また、乗車中に活用できる、路線や到着時間の音声ガイドが必要になること。

豊かなユーザーインサイトよりGoogleの地図アプリの改善が行われました。地図アプリに「バイカーモード」を導入したのです。バイカーの利用を意識したインターフェイスは、目印をハイライトするよりシンプルなデザインに変更。渋滞を避けるための代替路線を提示するといった機能も搭載されました。バイカーモードは南米、東南アジア、などでも導入し、500万人のデイリーユーザー数を達成しました(バイカーモードの導入の前、地図アプリのデイリーユーザー数は100万人でした)。

こちらのリサーチプロジェクトについて書かれているGoogleデザインの記事「Designing Maps for Motorbikes」にはユーザーのローカルコミュニティーに入り込み、ユーザーとなる人々と共感し合える関係を築くことはより優れたプロダクトおよびより包摂的なサービスの開発につながると強調されています。

Googleは新興国ユーザー向け地図アプリの他、決済アプリのTez(インド専用)、モバイル定額料金利用が多いことに配慮しYouTubeの仕様を最適化し、オフラインウェブ検索などのローカル化といった新たなサービスが開発されており、同社の「次の10億人」市場を動かしています。

新興国の経済成長と共に、あらゆるユーザーを考慮に入れて包摂的なプロダクトをデザインする必要があります。テックプロダクト以外のサービス・商品の販売においても、対象となる消費者の生き方、環境、ニーズ、希望、直面する課題などを理解することが重要です。

変化が激しい多様性があるインドでの、様々なユーザーを重視するユーザー・エクスペリエンス・リサーチはマーケットのさらなる理解につながります。ユーザーが存在する「文脈」から引き出すインサイトはビジネスのプロダクトの設計の他、ブランド戦略、マーケッティング・コミュニケーションの指針となります。


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