世界中におけるコロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンの影響で、ストリーミングエンタテインメント業界が賑わいを見せています。またFacebookはゲームストリーミングアプリのローンチを2ヶ月繰り上げしロックダウン中の人々のエンタテインメントニーズを満たしています。
インドでも3月下旬にロックダウンが発令されて以降、スマホゲーミングアプリのダウンロード数はうなぎ上りです。明らかにこの2〜3年はスマホゲームの成長が加速しています 。更にマネジメント・コンサルティング会社KPMGとGoogleが共に発表したレポートでは、インドのオンラインゲーミングは2021年までに11億米ドル産業に達すると予測されています。
ロックダウンの影響
ロックダウンの環境により、家族や友人と一緒に楽しめるマルチプレイヤーゲームの人気が高まっています 。 その中でも戦略的なボードゲーム、ポーカーまたはラミーのようなカードゲーム、ファンタジースポーツ、クイズといったジャンルが人気です。ユーザーは他人との競争や勝負を楽しみ、友人またはその他プレイヤーの間で高い評価を得ることによってマルチプレイヤーゲームに夢中になり、エンゲージメントの急増につながっています。ユーザー数の増加の上、アプリに割く時間が伸び、時間帯も昼夜問わずバラバラです(特に昼間のユーザーが増加)。
会社 | ゲーム | デイリーアクティブユーザー数 | ロックダウン次第ユーザー数の成長率 |
Paytm First Games | 200ゲームの中賭博ゲームのラミーが最も人気 | 50万人 | 200% (毎日7万5千新規ユーザー) |
Gameberry Labs | Ludo, Parchisi の戦略的なボードゲーム | 350万人 | 300% |
Poker Dangal | ポーカー | 6500人 | 35% |
Adda52Rummy | ラミー | 1万人 | 200% |
Rein Games | Real Money Ball Pool(唯一のゲームである) | 1万人(平均冷やす時間=60分) | 2〜3倍 |
双方向エンターテインメントかつ金銭的な利益となるゲーム
インドでは、ラミー、ファンタジースポーツにおける賭博ゲームは合法です。そして儲けを得るには、運だけではなくある程度のスキルが必要になります。
その背景を活かしてPatytm First Gamesをはじめ、ファンタジースポーツのユ二コーン会社Dream11及び数多くのゲームは報酬(お金 、新モデルのiphone、海外旅行など)を与えています。報酬の規模を理解するためにPaytm First Gamesの例を挙げましょう。同社は毎月1億インドルピーの報酬を与えてユーザーベースを拡大しています。 そしてPaytmの収益の40%は、ギャンブルのゲームが占めています。
Dream11は国民的競技であるクリケットの他、サッカー、バスケットボール、伝統的なカッバディというスポーツのファンタジーゲームを提供しています。8000万人のユーザーを獲得したDream11は、大手中国企業テンセントから1億米ドルの資金を受けて、昨年ビジネスインテリジェンスプラットフォームのCB Insightsよりユニコーンとして評価されました。
2019年に発表されたKPMGインド社のメディア・エンタテインメントレポートによるとARPU(ユーザー1人当たりの平均売上)またはユーザー数の増加の傾向によってオンラインゲーミング業界の成長は以下の表のようになると言います。
オンラインゲーミング産業の評価 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 年複利成長率(2020年度〜24年度) |
10億インドルピーの単位 | 87.8 | 118.5 | 154.0 | 200.2 | 250.3 | 32% |
インドのオンラインゲームのユーザー数 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度(予測) | 2022年度(予測) |
100万人の単位 | 269 | 300 | 365 | 440 |
2020年〜2024年の成長は、地方のユーザーが後押しすると考えられます。
スマホゲームの有望な将来
2月24日にムンバイで開催されたマイクロソフトのイベントで、CEOサティア・ナデラ氏とインド最大の民間企業リライアンス・インダストリーズの会長であるムケーシュ・アンバーニー氏との会談で、アンバーニー氏はインドのゲーミング産業について次のように述べました。
ゲーミングを知らない世代の人々には想像しにくいですが、ゲーミングは音楽、映画、テレビ番組を組み合わせたものより大きなコンテンツになると思います。
ムケーシュ・アンバーニー氏
Source: Microsoft News
2016年に定額のスマホデータの提供によってデジタル革命を引き起こしたアンバーニー氏によると、若者人口の多さと巨大なインターネットユーザーベース(世界の2位)が、スマホゲーミングの著しい成長のきっかけだといいます。
さらに、以下の傾向はスマホゲーム産業の成長を支えると考えられます 。
ユーザーのベースの拡大
- 手頃なスマホ(2022年までに8.5億人のユーザー数に達成すると予測される)または定額データ契約プランの普及。
- インターネットスピードの向上。
- ユーザーベースは18才〜45才であり、ロックダウン中の30代と40代のユーザーの増加。
- 女性ユーザーの増加。
- 2021年までに5.4億人のユーザーが現地の言語でインターネットをアクセスするという予測による多言語でのアプリの提供。
リアルマネーゲームの人気
- ファンタジースポーツリーグ、カードゲーム、クイズゲームは急成長している。
- 向上心に溢れるインドの若者は、金を稼ぐことまたはエンターテインメントであるリアルマネーゲームに惹かれている。
- マルチプレーヤーゲームはインタラクティブであり、その他プレイヤーと一緒にゲームを楽しめること、競争できること、また、友人やその他ゲーマーから注目されることが重要である。
- 報酬または自分のコミュニティから認知を得るという願望が満たされる。
充実したエコシステムの構築
- 90%のゲーマーはスマホでゲームをするためソーシャルメディア、デジタル決済、E-コマースなどのあらゆるアプリまたはサービスに繫がることができる。
- スマホを中心にソフトバンク、アリババ、テンセントといった大企業かつ投資家の事業が成功している為、彼らにとってインドのスマホゲーム業界は魅力的であり、投資している。
- メディア・エンターテインメント・食事配達・デジタルペイメントアプリのような取引事業は顧客の確保または保持する為のマーケティングにゲームを活用している。例として食事配達サービスZomatoや決済アプリGoogle Payが挙げられる。両者はファンタジークリケットのゲームを自社のアプリで提供し、報酬として自社のサービスで利用できるポイントや賞金を与えている。
- プロのプレイヤーの急増。
- スマホゲーム業界は有能なアプリ開発者、エンジニア、デザイナーを誘致している。
スマホゲームに夢中な若い世代はテレビや映画より、ゲームが提供する没入型のプレイヤー体験、刺激、コミュニティーからの認証または報酬にハマっています。そして、インドのデジタル革命によっていわゆる「次の10億人のユーザー」は地方にある小さい町・村から出てきます。このユーザー層にとってスマホは世界への鍵であり、唯一のエンターテインメントのデバイスです。都市部のユーザーであれ、地方のユーザーであれ、強い熱望を抱いている若者はオンラインゲームを通して野望を自己実現すると思われています。そして、この需要はイノベーションのきっかけになり、より洗練されたゲーム体験、または改善されたユーザーエンゲージメントに繫がると考えられています。
インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]
表1の出典:
Economic Times. For Indian gaming startups Covid-19 lockdown is a boon for business. 2020年4月13日
Yourstory. Online gaming startups see a surge as India locks down to fight coronavirus. 2020年3月31日
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