• Skip to primary navigation
  • Skip to main content

QE Synthesis

  • Work
  • English
  • 日本語

Digital

近年インドで増加する女性の投資の背景

May 2, 2022 By Shivani Gopalkrishna

インドの某投資信託会社の調査によるとわずか女性の33%しか投資していないという結果が出ました。三分の一の女性のみが投資をし、残りの女性は他人に任せていると考えられます。その一方で、64%の男性が投資にお金を費やしています。同調査は2019年に行われ、対象した女性たちは投資に関して父親よりも夫が管理していると述べました。

早期金融教育の不足の上、投資は男性の領分であるという考えを持つ女性がほとんどで、投資に関する責任を負うことに遠慮がちな姿勢を示しています。

インドにおける金融業界を含むワークフォースではキャリアウーマンの普及が進んではいるものの、従来より女性は金融サービス業界から軽視されていると考えられます。

2018年にローンチした金融アプリ「LXME」はこの課題を乗り越えようとしています。この女性専用投資アプリは金融教育、専門家によるアドバイス、アプリ内の投資に関するクイズやゲームを提供しています。同アプリのユーザーコミュニティーはその他の金融投資アプリのものより際立っています。

LXMEの女性ファウンダーは、あらゆる職業とライフステージにある女性を対象とし、そして女性が個人財源の管理に必要な知識を手に入れることが最も重要であると強調しています。

なぜ女性を対象とする金融教育・アドバイスが必要なのか

今年、インドの大都市、より小さい都市や町に住んでいるあらゆる職業の21歳〜45歳の4000人の女性を調査した結果、LXMEアプリ会社は女性の節約習慣、お金の使い方、また、投資活動について多くのことを発見しました。「Women and Money Power 2022」のレポートから以下のようなデータをハイライトしたいと思います。

お金の管理に関して、収入の20%も貯金しない女子が多いと示しています。

多くの対象者は投資をするために充分な収入が必要であるという誤解があります。

本調査は以下のように女子が投資するハードルを述べています。

  • 金融投資は男性の領分であると考えている
  • 金融業界に関しての知識が欠けている
  • リスクがあると判断している

女性の家計管理への関わりを見ると、状況は異なります。金融投資に関する決定権と比べ、家や車の購入、子供の教育、旅行、その他の家計費に関する決定権には、女性が大きく関与しています。

コミュニティが提供するソーシャル体験

女性専用のLXMEアプリは、その他の金融投資アプリと違ってユーザーコミュニティーを重視しています。限定されたグループの中では遠慮なく投資にまつわる疑問、心配、懸念などを表明する機会があり、コミュニティーの中の専門家またはメンバーが応じます。そのような同インタラクティブのプラットホームにおける質問、学習、メンバーの間の関わり合いによって互いに信用を獲得することにつながります。

各メンバーたちの力を合わせて「ソーシャル・キャピタル」、つまり、有意義なソーシャル体験を構築しています。重要な情報、アドバイス、貴重な経験、役に立つネットワークといった利点をメンバーたちと共有します。

そのようにしてLXMEアプリは、同じ考えを持つコミュニティーへの帰属感を作り出し、数多くの女性に疑問や懸念を表明できる心地良い場所を提供し、安心感をもたらし、投資に関しての自信を与えています。そしてコミュニティーのメンバーが力を合わせて金融業界を活性化させることに繋がっています。

LXMEアプリは、女性の投資に対する社会的不名誉を克服する力、そして自信を与えています。


LXMEアプリの例は、あるコンシューマセグメントに関する文化文脈、環境、行動、価値観を深く理解し、対象とする女性のセグメントのニーズに合わせたサービスの成功例です。インド社会における複雑なダイナミクスは消費者の行動まで反映しているので消費者の文化文脈をよく理解することが必要であると考えられます。


インド人のお金の使い方、貯金に関する考え方、また、女性、若者などに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

インドの地方の若者の心を捉えたTikTokの影響力を理解する

January 2, 2022 By Shivani Gopalkrishna

一時期、動画共有アプリTikTokはインドで爆発的な人気がありました。2020年前半にそのピーク時には2億人ユーザーに達成し、中国を除く世界のトップクリエーターの15人はインド人でした。

単なるソーシャルメディアプラットフォームではなく、TikTokは従来インターネットに現れない地方の経済的に困窮している人々、下層カーストである人々の自己表現を可能にしました。TikTokの導入によって、下層の人々はインドにおけるデジタル化に初めて参加することができ、それに加えオンラインクリエーターとしてキャリアを築くことも可能になりました。

この新しいクリエーター層は田舎にいる貧困層としてコンテンツを投稿し、同じ状況下でいる大勢のフォロワーを引き付けました。それに伴い広大なインド の農村市場を狙う目的でPepsiをはじめ、日用消耗品企業はTikTokを利用して全インドにいる地方の若者を対象した戦略を実行しました。

TikTokプラットフォームで大成功を収めたクリエーターの兄弟、サビトリとサンタンの例を取りあげます。この兄弟は家の泥壁の小屋のそばで雨であれ、洪水であれ、どんな状況でも笑顔で踊っている動画を投稿し、3年間に渡って270万人のフォロワーを獲得しました。

聴衆の増加につれて兄弟は高い広告収入を得て、TikTokでセンセーションになりました。このように2017年に導入されたTikTokは驚異的な速さで田舎にいる若者達の間で人気を博していていました。

しかし、2020年中旬に中国と緊張が高まる中でTikTokを含め58件の中国のアプリが廃止されました。即時にインドの地方のタレント、労働階級からのクリエーター、貧困層の聴衆達はインターネットの世界から削除されてしまいました。

2020年前半までインドはTikTokの主要な成長原動力であった

出典:Sensor Tower, Times of India

2017年のローンチから2020年6月の禁止まで 6.11億ダウンロード回数 (世界の 30.3%)
インドでダウンロードされたアプリのOS版 アンドロイド
インド地域言語で利用可能である 15つ言語

田舎のユーザーを引きつけるTikTokのデザインの特徴

インドの幅広い人口の興味を引くTikTokアプリは、以下の賢いデザイン機能を生かして大きく進展したと考えらます。

  • 15秒の短い動画:低額スマホとデータプランを利用する幅広い人口に向けて適切な機能である。簡単にビデオを撮影し、アップロードができる。その一方、Youtubeプラットフォームでのクリエーターはより洗練されたスマホと高いデータプランを購入する必要があり、その上、田舎のシンプルな生活を表現するのには短い動画形成が好まれる。
  • 直感的なUXデザイン:アプリのUXデザインは教育を受けていない人々また初めてスマホを操作する層にも容易に使用できる。
  • 地方の熱狂的な音楽ライブラリー:動画のサウンドトラックになる音楽は地方で人気の音楽が提供されていた。地域にいるユーザーはこの特徴を非常に楽しみ、自分で撮影した動画に合わせる豊富な音楽を選べられることは、特にこのアプリが愛されるきっかけであった。その一方、インスタグラムやユーチューブではインドの主流音楽、インド映画産業のボリウッド映画のサウンドトラック、また欧米音楽しか提供がなく地域のヒット音楽まで揃えていなかった。

インスタグラムリールの登場

地方で人気をさらったTikTokと競争したインスタグラムは、インドのエリートユーザーに向けていたと思われます。お金、教育へのアクセスがある人々また現代的なライフスタイルを送る層はインスタグラムで海外旅行、高級料理と言った気ままな生活スタイルを描く都市風のコンテンツを投稿し、洗練されたライフスタイルに憧れを募らせています。

TikTokが禁止された直後、インスタグラムの短い動画機能「リール」は迅速にTikTokの空白を埋めることに成功し親会社Facebookの利益につながりました。ただし、Facebookはインスタグラムを通して中間・上流層を引き寄せることを重視し、厳しくコンテンツの基調を打ち出しています。インスタグラムのアルゴリズムは不鮮明な動画、ロゴやウォーターマークが写っている動画、また、低価格スマホに搭載されている機能である画面周囲のボーダーが表示された動画を推薦しないと発表しました。これによってインスタグラムはアプリへの高い参入障壁を設けていると考えられます。

その結果、TikTokが提供した多様なコンテンツ、また、あらゆる文化文脈からのクリエーター達が参加できるコミュニティーの代わりにインスタグラムのリールでは精彩を欠いた野心的なコンテンツがあふれて、中流階級の生活のあり方そのものであると思われます。中間層の外にいる経済的に困窮している層にとって手が届かないものばかりが並んでいます。

しかし、2020年7月にローンチしたインスタグラムのリールはうなぎ上りに成長しています。インスタグラムの2.1億人のアクティブユーザーは日々600万の短い動画をアップロードしています。更にインド系の動画共有プラットフォームも登場しています。加えて地域言語ソーシャルメディアのShareChatの動画共有プラットホームMojでは、日々250万動画がアップロードされています。

TikTokが生み出したクリエーターはインスタグラムまたユーチューブで活躍し、試行錯誤してコンテンツを作成しています。彼らによると聴衆は増加しているが、TikTokと比べるとプラットホームのセンスやフォロワーからの期待が異なり、より洗練されているコンテンツや見栄えの良いクリエーターが求められているといいます。

動画共有プラットホームとして現在、ユーチューブの人気が上昇しつつあり、地方ユーザーに向けたSnapchatも再熱しています。インドの多様な社会の鏡であるユーザー作成コンテンツ市況は常に変化していくと考えられます


ソーシャルメディアの行動、デジタル広告トレンドなどに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

コンシューマとの関係を強化するインフルエンサーマーケティング

January 2, 2022 By Shivani Gopalkrishna

「コンシューマは自身に対する評価、そして自文化への解釈によって商品を有意義なものにする」

人類学者サム・ラドナ氏

化粧品、美容製品 またファッション製品の大手ECサイトNykaaは先月に歴史的な新規株式を公開し、50代 の女性CEOは一代でインドの億万長者となりました。営利事業であるNykaa社のビジネスモデル、そして大成功しているマーケティング戦略が注目を浴びています。

9年前に設立されたNykaa社の95%の売り上げは、同社のECサイトまたアプリであり完全にデジタル事業であると言えます。デジタル販売を伸ばしているデジタルマーケティング戦略によってソーシャルメディアでは1260万人のフォロワーを持ち、ブランドに忠誠心を持つインフルエンサーコミュニティーを構築しています。

Nykaaのインフルエンサー(Nykaaインスタグラムより)

メイク方法を紹介するビデオやブログ投稿、美容またファッションに関するその他の魅力的なコンテンツを投稿している約1,300名のインフルエンサー達によってNykaa社は特定のオーディエンスをターゲットにし、効率よく顧客を掴み顧客維持率を高めていると考えられています。Nykaa社の充実したアフィリエイト・プログラムに参加するインフルエンサーまたブロガーは、フォロワーと製品の紹介ビデオ(メイク方法など)などのコンテンツと共に製品を購入するためのリンクを共有し、訪問者がそのリンクをたどって商品を購入すればコミッションを手に入れます 。それらの化粧品・美容商品に対する指導ビデオ・コンテンツはエンターテインメントとして美容スキルを教え、顧客を引き寄せることでNykaa製品の需要を増大させていると考えられています。

このようにインフルエンサーやコンテンツ・クリエーターを活かした事でNykaaのFace Book・Instagram・You Tube Channelでは平均の月間アクティブユーザー数が3〜3.5億人を達成しています。さらに、Nykaaの爆発的な人気に便乗するように若いボリウッド女優はブランドと連携した特別商品をローンチし、事業の信頼を高めることに尽力しています。

このようなデジタルマーケティング戦略とインフルエンサーの活用は低コストで行われているため極めて効果的な戦略であると考えられ、その他のECプラットフォームや消費者向けのブランドも同様な戦略を実践に移しています。

ユーザー生成のコンテンツ

インフルエンサーが投稿するコンテンツの他、大手消費者ブランドは一般ユーザーの自己表現力も活かせるようになっています。昨年コロナウイルスによるロックダウンにおいては「オレオ」クッキーブランドを所有するモンデリーズ・インディアは消費者との交流として「家でオレオと一緒〜」(#AtHomeWithOreo)キャンペーンを企画しました。

オレオのユーザー生成コンテンツのキャンペーン

キャンペーンの参加者はオレオを利用する新しいレシピ、家族と一緒に過ごす時間、ロックダウン中の生活、新しい趣味などの 動画や写真をソーシャルメディアで共有していました。キャンペーンの動画の閲覧者数は2900万数で、2.49億インプレッション(再生回数)を達成しました。

オレオのキャンペーンは、特に家に閉じ込められた人々に自分の生活や思い、自己表現を促しコロナ禍の経験に対する感情に共感し合うことで顧客との関係を強化し、ブランドの存在感を高めました。

ふさわしいクリエーターを活用し、適切なメッセージを伝える

様々な選択肢、また商品に対する情報があふれている一方で商品に対して信頼が欠けている現代では、ブランドはコンシューマの信用を得ることが最も重要です。コンシューマは常にブランドとのより深い関係性 、また真正性のある有意義な繋がりを求めています。上記の例が示しているようにNykaaとオレオのブランドはインフルエンサーやユーザー生成コンテンツを上手に活かし、顧客との関係を強化し、ブランドの存在感、消費者想起率そして売り上げを伸ばすことに成功しました。


ブランドはコンシューマの置かれている状況、マインドセット、悩みと言った価値観をコンシューマの文化文脈で解釈することが非常に重要です。そうすることでコンシューマと共感できるインフルエンサーまたクリエーターを活用することにつながり、時代にふさわしいコンテンツの作成が可能になります。このようにして、製品は消費者にとって意味のあるものになっていきます。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


ヘッダー画像:インド映画産業、ボリウッド女優はインスタグラムでNykaaの化粧品のチュートリアル動画を投稿している。(NykaaのInstagramより)

インドにおけるデジタル金融インフラ

August 13, 2021 By Shivani Gopalkrishna

コロナウィルス感染拡大によってインドではデジタルペイメントが「あるといいもの」から「不可欠なサービス」になったといわれています。下の表が示すように2020年4月〜2021年6月の間で行われたデジタルペイメントの取引件数は20.37億件数から46.17億件数と2倍に拡大しました。この1年間では小さな街に住むユーザーに加え50代以上のユーザーの増加が見られます 。

Covid感染におけるデジタルペイメントの拡大

出典:National Payments Corporation of India (NPCI)

デジタルペイメントに関して、インドのような途上国は先進国より先を行っていると考えられています。

元々クレジットカード、デビットカードがそこまで普及していなかった状況であり、ゼロから新しい決済方法を採択することになっています。インドにおけるデジタルペイメントシステムは世界をリードするモデルであると考えられています。

そのようなデジタルペイメントを可能にしているインドの特有のUPI(Unified Payments Interface)プラットフォームは、食材から株式投資に至るまで、ほとんどのオンライン決済に利用されています。UPIはインド中央銀行と幾つかの銀行から成っている非営利団体です。

昨年と今年で全国ロックダウン中のデジタルペインメントが急速に多くのビジネスや個人にとって金融の命綱になったシステムを深く掘り下げていきます。

デジタル公益

2016年に設立されたUPIはプラットホーム上でのあらゆる送金方法を利用できます。例えば、バチュアル・ペイメント・アドレス、UPIのID、携帯電話番号、銀行口座番号、そしてインドの特有のデジタル識別番号「アーダール番号」によって即時のペイメントが実現します。また、上記の 認証番号が含まれるQRコードも利用可能であり、事業とコンシューマーの間(B to C)、事業の間(B to B)、または個人のユーザーの間(C to C)と、あらゆるタイプの決済を容易にしています。更に人手をかけず24時間シームレスアクセス可能であり、手数料はかかりません。

Googleを始め、Walmart、Amazonといった世界の大手テック企業、そして230以上のインドの銀行はUPIのプラットフォーム上に決済アプリを開発し、UPIが提供している柔軟性と相互運用性のあるデジタルインフラから多くの利益を得ています。つまりUPIプラットフォームは、規制の厳しい銀行と、大手ハイテク企業が運営する規制の緩い決済アプリとの間の取引を促進しています。それにより金融サービスを提供する事業の間での競争を盛んにし、イノベーションの原動力になっています 。

2016年、UPIの登場前は紙幣の利用がほとんどで、銀行口座を持たない人口の割合も多かったものの、2021年の現在では屋台で食べ物を売るマイクロ起業家を始め、社会は積極的に デジタルペイメントを受け入れています 。加速的な変化を表す右の表をご参照ください。

デジタルペイメントへのシフト

出典:Reserve Bank of India

基礎になるデジタルインフラ「インディア・スタック」

証明できるID(証明書)は近代経済の基礎であると言われています。2010年にインドでは個人のバイオメトリクス認証を含めた識別番号「アーダール番号」が導入され個人を 12桁の番号を含む特有のデジタルIDで振り分けました。それはデジタルインフラの基礎になる初のプラットフォームであり、最初のデジタル公益だといわれています。現在インド国内に滞在する人口の12億人以上がアーダール番号を所用した事で、個人のID検証が可能になり、金融包摂において極めて大きな役割を果たしています。

アーダールはデジタルプラットホームと言います。アーダールの認証によってその他デジタル金融サービスが可能になりました。アーダールのようなIDプラットフォームがデジタルペイメントを可能にするように、eKYC、eSign、DigiLockerなどの他のプラットフォームは、デジタルインフラのID層のビルディング・ブロックを構成しています。同様に、UPIやインスタントトランザクション(IMPS)などは、デジタルインフラの決済層の構成要素となるプラットフォームです。積み重なっているレイヤーは「インディア・スタック」と言います。現在3つのレイヤーが機能しています。

 認証レイヤー       アーダール番号によってオン・デマンドで個人の認証が行われる他、eKYC(銀行口座を設立するための検証処理)eSign、DigiLockerの機能も提供している
 ペイメント
 レイヤー 
UPIは唯一のペイメントプラットフォームとして、第三者決済アプリとユーザーの銀行口座との連携によって、法定金融システム内で即時のペイメントを可能にしている
 データが共有
 されるレイヤー                  
プライバシーを守りながらユーザーの承諾によってデータを活躍してあらゆる金融取引を安全かつ円滑に進めている

各レイヤーは複数のプラットフォームで構成されています。プラットフォームが連携してサービスを提供することで各プラットフォームは、それぞれ の目的を果たしています。(アーダール とUPIのプラットフォームが連携してデジタル決済が実現など)。各プラットフォームはあらゆるユーザーに直接的あるいは間接的に繋がることによって進化し、ユーザーのニーズを満たす大規模サービスを提供する柔軟なモジュール開発であると言えます。

インディア・スタックが提供している公的なデジタルインフラによって公共と民間 は価値の創造を促進され、手数料の減少も実現しています。

当たり前になるデジタルペイメント

具体的に、こちらのデジタルインフラが一般人にどのように役に立つのかを理解するためにシーマさんの例をみてみましょう。

こちらは田舎からバンガロールに移住したシーマです。シーマは衣料品工場で働いていて、住所不定の移住者としては銀行口座を開くことが難しいです。シーマはアーダールカードに登録し、バイオメトリクスデータにつながるデジタルIDを取得します。このアーダール番号とバイオメトリックデータだけを使用して銀行口座を開くことができ、あらゆる金融サービスプロバイダーはシーマのIDを容易に認証できることになります。

デジタルインフラのレイヤーによってシーマはアーダール番号と携帯電話番号と銀行口座番号を簡単なペイメントアドレスとして統一します。このペイメントアドレスは雇用主と共有し、フィンテックアプリによって給料へのデジタル的なアクセスが可能になります。

デジタルインフラのペイメントレイヤーを利用して、シーマは田舎にいる母親に決済アプリ上で即時の送金することができ、母親はアーダール番号とバイオメトリック認証によってお金を引き出すことができます。

デジタルペイメントを可能にしているUPIプラットフォームは使いやすくシンプルなインタフェースで、銀行とフィンテックアプリの交流を促しています。銀行は金融取引のバックエンドを管理し、フィンテックアプリはユーザーとのフロントエンドの操作を行っています。銀行とテック企業との有意義なパートナーシップはプラットフォームの成功に貢献していると思われます。その他の影響的な要因は以下のようになります。

UPIの著しい成長を支える要因
スマホの高い普及率
定額のデータ料金
インド 政府のキャッシュレス経済への政策
  第3者のフィンテックアプリも利用可能なプラットフォームによって大規模な    イノベーションと普及を促進
2016年11月に500ルピーと1,000ルピーの紙幣廃止

UPIの著しい成長と共にプラットフォームでの負担も増加されて、効率に影響を与えています。

需要に沿って、中央銀行は民間企業にUPIのようなペイメントプラットフォームのネットワークを構築することを促しています。Google、Walmart、Amazon、Relianceのような大手小売事業も小売とつながるデジタル決済技術または中小企業を対象とする投資サービスを開発することに関心があります。

アプリ 取引件数(億件数) 市場シェア
PhonePe (Walmart所有) 11.9 46%
Google Pay 9.0 35%
PayTm 3.2 13%
トップ3の決済アプリ

今後、これらのテック企業より大規模である金融プラットフォーム、または金融プロダクトによる更なる進展が期待できると考えられます 。その上、UPI上でも融資を中心するサービスは、ユーザーの承諾によってクレジットヒストリーにつながる融資機能により小さい債務者にローンにアクセスをすることを可能にし、効率的かつ融資コストを削減することを可能にします。また、コンシューマーにとってローンやクレジットをアクセスすることが容易になると消費行動を促す上、新しいビジネス機会につながると考えられています。

関連記事:非接触ペイメントの時代


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


参考資料:

国際決済銀行より「The Design of Digital Financial Infrastructure: Lessons from India」 レポート2019年12月

インド中央銀行統計 (RBI Bulletin)

非接触ペイメントの時代

November 2, 2020 By Shivani Gopalkrishna

インドの最も大きい民間銀行HDFC Bankは、国の厳しいロックダウン中に25万の新規口座開設を達成しました。同銀行は、オンラインで基礎検証を行い即座に口座開設を完了すること可能にしています。その後、顧客は1年以内に残りの書類を提出します。

現在インドでは730万人以上のCOVID-19感染者がいると報告されています。感染の拡大につれて紙幣の使用を避け、非接触のデジタル決済による支払いを選ぶ人が急増しています。この現象に関しての面白いデータを以下のようにまとめています。

金融取引に関する行動変容

アメリカのコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain and Company)は、Covid-19感染による銀行サービスへの顧客の行動変容に対して調査を実施しました。本調査は、8カ国に渡って1万人を対象に行われ、9月上旬に発表されました。その調査結果から作成された以下の表は、非接触決済サービスに関する行動パターンを示しています。

対象国の中でインドは初めて非接触決済サービスを利用する対象者が最も多いという報告があり、感染対策として高齢者または田舎や小さい町に住んでいる新たな顧客層を非接触決済へ引き込んだことが理由だと考えられています。

ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成
ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成
ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成

それに伴い調査した国では現金、小切手のような従来の金融取引を避ける人、またはやめる人は対象者の中で、平均30%の割合を示す結果が出ました。インド、ブラジル、イギリス、中国は平均割合を超えています。銀行支店への訪問を減らす、またはやめる対象者の割合は平均で41%。同様に、インド、ブラジル、イギリス、中国とポーランドは平均を超えています。

ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成
ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成

インドにおけるデジタルペイメントの加速

United Payments Interface (UPI)は、インド政府が運営するデジタル決済のインターフェイスです。同システムによって複数銀行口座を一つのモバイルアプリで‘金融機能を統合して利用出来ます。複数の銀行口座への操作、即時の送金、小売業者のアプリ内での決済機能等が特徴的です。また、規制ガイドラインに従った2要素の本人認証でのログインが可能です 。

出典:NCPI

2016年にローンチしたプラットフォームであり、先月には Google Payをはじめ、インドのデジタル決済アプリのPaytm、PhonePe等の業者、174の銀行が加盟しています。その結果、 COVID-19感染が拡大して以来、金融取引が急増しています。以下の表が示しているように、今年の3月と4月のロックダウ

ンによって経済活動が停止し、3月に初めてUPIにおける取引件数が減少し、4月にさらに20%に減少しました。そして5月にようやく経済活動が再開されて以来、UPIで行われる取引件数は急激に上昇しています。

COVID-19感染は従来のトレンドを加速させていると言われています。HDFC銀行が提供するオンライン即時の口座開設のサービスは、新しい時代に応える革新的なデジタル販促の例です。また、インドで大人気のチャットアプリWhatsAppが導入されたWhatsapp Payもデジタルクレジットのイノベーティブなサービスを提供する予定があります。インドのデジタル決済エコシステムにおける著しい成長もトレンドの加速の例の一つです。

数十万の商人または数百万の人が毎日取引をするUPIプラットフォームは、インドのデジタル革命の重要な役割を果たしています。UPIのワーキングモデル、背景、どのような成功をデジタル決済の革命にもたらしているのかを次掲載する予定の記事にまとめています。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

  • Page 1
  • Page 2
  • Page 3
  • Page 4
  • Go to Next Page »

© 2025