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地方おける消費者主義の波

October 31, 2019 By Shivani Gopalkrishna

現在インドではお祭りシーズンの最中です。10月上旬に10日間のダシャラー祭が終了し、下旬にはヒンドゥー教の最大のお祭り、ディワーリーのお祝いがあり市場は一年で一番賑わっています 。欧米のクリスマスシーズンのように、インドでも消費のハイシーズンと呼ばれています。小売見込みによるとインド人消費者が、 電気製品や服装、コンシューマー製品 の60%を購入する時期だと言われています(お祭りの季節の3ヶ月間 、9月末〜12月末)。この5年間にEコマース大手のAmazonとFlipkartは、祝祭シーズンにおける消費景気を生かして次の1億人の顧客を引き付けるために都市部ではなく地方での競争が激しくなっています。

Amazon、Flipkart、その他大手EC企業達は地方を優先する


消費景気

経済成長につれて地方の豊かさが増し、スマホの普及と共に地方にいる消費者の好みや要望は進化しています。インターネットやソーシャルメディアで大都市の消費者と同じ情報を入手することが可能になり、都市部に住む彼らと同じもの、あるいは同じライフスタイルを熱望し始めています。従って地方でも消費者の支出傾向は進化しています。

この現状を活かすためにAmazonとFlipkartは積極的にディスカウントを提供しています。新規のオンライン消費者を引き付けるためにスマホから衣服や食材、そして石鹸などの日用品に至るまで大幅なプライスダウンを行い、満足感を与える工夫をしています。

バンガロールにある小売コンサルティング企業 RedSeer によると2023年までに地方がE-小売の70%の総流通総額 (Gross Merchandise Volume)に達成する見込みです。現時点で地方が生み出すE-小売の総流通総額は全体の40%を占めています。

デリー、ムンバイ、コルカタ、ハイデラバード、チェンナイ、バンガロールのような大都市以外の小さな町は多く、次の1億人の顧客の重要なベースになる。

若い世代は向上心を持ち、新しいサービスへの好奇心が強い

エンターテインメントプラットフォームで消費するコンテンツは、若い世代が持つ向上心に極めて大きな影響を与えています。ビデオ広告だけではなく、人気なユーチューバー、その他インフルエンサー(タレント、影響力がある人)によって消費を促されるブランド、商品(車、スマホなど)や海外旅行への憧れが作り出されて、目指すライフスタイルに繋がっています。

地方ではスマホの登場によって初めてインターネットを利用する人口が非常に多く 、その環境の中で特に若い世代は新しいサービス・アプリに強い興味があります。その若い世代をECサイトへ引き付けるために、インドの公用語であるヒンディー語でのサイト・アプリの提供が主流です。

地方の若者はオンライン・ショピングの成長を促進し、これから地方は大都市より急成長する市場であると考えられています。


商品の選択肢が増える

地方ではショッピングモールで購入できるブランド・商品が限られているためオンライン・ショッピングの人気が高まっています。そしてEC事業として消費者だけではなく地方にいるセラー(売り手)を増やすことにも大きなメリットがあります。

Amazonはお祭りシーズンの「Great Indian Festival」をきっかけにして、商品のロードショーを開催しました。600商品を3台のトラックに乗せて北インドから南インド、西と東も含めて、代表な町の13ヶ所に走って消費者に商品の体験を提供しました。さらに各地域の伝統的工芸を宣伝し、職人たちをセラーとしてプラットフォームの会員に引き込みました。この試みによって消費者とセラーの交流を促し、意見またはインサイトをお互いに共有するに繋がりました。

重要なのは地方の消費者の意識を高めるアウトリーチシステムです。広告でAmazonのブランド認識があっても、オンライン購入したことない消費者向け、オフラインで商品を持っていくことによってAmazonは地方へ配達が可能だと消費者を安心させ信頼を得ることに成功しました。

消費者へオンラインプラットフォーム・アプリで購入するための教育も必要になります。AmazonとFlipkartは地方で「エクスペリエンス・センター」を講じ、消費者の購入体験をサポートし、デジタル決済やその他の悩みを和らげています。

Amazonは地方への配達を実現するために今年のお祭りシーズンに50万人のセラーとパートナーシップを結び、13州に渡る50件のフルフィルメント・センターを構築しています。

そしてFlipkartもラストマイル配達を強化するために配達者を大規模雇用し、700町に渡るの「キラナストア」と呼ばれる小規模個人商店27,000店舗をパートナーとしてプラットフォームに引き込んでいます。


Amazon, FlipkartのようなEC事業の他、食品配達サービス、車のシェア サービス、ソーシャルメディアサービスなども地方のコンシューマーを対象にしています。都会よりインフラが整備されていない地方では配達事業を行うには挑戦が多く、事業の成功のためにやはり時間、根気、一貫性、そして投資が必要になります。

インドの地方まで事業を行わなくても、地方出身の消費者を理解することは非常に重要であると考えられます。なぜなら彼らは教育または就職の理由で大都市へ引っ越し、将来の消費者になるからです。


消費者リサーチに関して詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


Header Image Credit: Shutterstock.com

小売業における大規模なパーソナライゼーション

September 3, 2019 By Shivani Gopalkrishna

Nike、Walmart、McDonald’sの大手小売企業が最近AIの最先端企業を買収していると、ビジネスリサーチまたは企業データベースを提供するCB Insightsが報告しました。 買収により世界規模で事業を経営しているこの大手3社は、「ハイパーローカル」(現地の)需要にAI技術による高い処理能力で商品在庫管理を行なう事を近い将来に実現します。3社は今までの安定した品質の商品とサービスに加え、パーソナライズされたユーザーエクスペリエンスの提供を可能にすると考えられています。

個人へのセグメントのアプローチ

コンシューマー企業としてAmazon、Netflixが先駆けとなってAI技術を採用していました。一人ひとりのユーザーの行動プロフィールを作成し、個人ユーザー向けにレコメンデーション技術を組み込んだことで 、オンラインのユーザーエクスペリエンスをよりパーソナライズ化し、エンゲージメントと利益を伸ばしています。

パーソナライズ化とカスタマージャーニーが重要である小売業では、消費者の一般的な行動データの把握だけでは不十分だと考えられています。従って、 消費者セグメンテーションによって消費者にスーパーパーソナライズされた体験を提供するため、小売ブランドはAIやコンピュータービションといった最先端技術を活用して個人レベルのセグメンテーションまで移行しています。

個人の消費者の購入に至る要因、気候、時間帯、過去の検索結果、そして購入した商品などといったあらゆるデータポイントを収集し、消費者の要求と関連性のある商品のレコメンデーションまたはカスタマイズされたサービスを提供することが可能です。小売、ファーストフード、エンターテイメントサービス等あらゆる消費者に対応する企業がAIの活用によって大規模なサービスのパーソナライズを実現しています。

インド発小売自動化AIの企業

インド南部チェンナイを拠点とするVue.ai は、神経科学者とプロダクトデザイナーの夫婦が立ち上げたAI技術を採用する小売オートメーションプラットフォームです。アメリカの大手デパートMacy’sをはじめ、 南米ECサイトのMercadoLibreまたはインドのEC企業TataCliq(Tataグループ企業)と言った大手企業向け画像認識またはデータサイエンスを利用してエンド・ツー・エンド小売自動化ソリューションを提供しています。同社は現在までに合計で2750万米ドルの資金をSequoia Capital India、Falcon Edge Capital、そして日本のGlobal Brainから調達しています。

Vue.aiはマーチャンダイジングの自動化に向けカタログ管理と商品タギングのプロダクトを開発しています。また、消費者にパーソナライズされたショッピングサービスを提供するための画像認識機能を備えた商品検索エンジン、個人のユーザーに向けたスタイルのレコメンデーションとメールコンテンツも提供しています。

Vue.aiによるレコメンデーションエンジン
出典:Individualization in Retail, Vue.ai case study

同社が発行した小売業におけるパーソナライズ化という事例研究によると、レコメンデーションエンジンはECサイト上、ユーザーのショッピング体験の開始からデータを収集し、色、模様と言った視覚的なインプット、またブランドやカテゴリーのような非視覚的なインプットの上、気候、ファッションの流行などの外部属性まで織り込まれているといわれています。つまり、AIを活用してユーザーの好みや環境などに基づいた文脈上適切なリアルタイムの相互作用機能を提供しています。

小売企業はパーソナライズ化したサービスをユーザーに提供する事により、特別なショッピング体験のほか、クロスセルまたはアップセルを実現し、ブランドへのエンゲージメントを高め、競争優位性に繋がると述べています。Vue.aiは、時間をかけて集められる大量のユーザーデータ によってより個人へ向けたサービス提供が実現を可能し、それは結果として顧客維持に繋がります。

そして小売のあらゆる作業過程の自動化によって経費の削減や資源の節約に繋がり、小売企業はブランドにまつわる体験に集中することを可能にすると主張しています。


今、小売企業はコンシューマーエクスペリエンスの重要性に注目しています。 個人の消費者の行動、意図、好み、情報を消費する方法などを重視することによって、より有意義で特別な体験を提供することが可能になり、小売ブランドとのエンゲージメント、顧客維持率、そして収益性を高めることに繋がります。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


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インドのスマホデータ通信量が世界一位に

July 15, 2019 By Shivani Gopalkrishna

データ通信量の成長トレンドが継続

インドで次世代の携帯電話サービスが予想より速く導入されているといわれています。内線電話がまだ全国に普及していなかったにも関わらず、携帯電話の普及率は大幅に増え続けています。通信機器・ネットワーク企業のエリクソン社(以下Ericsson)が6月に公表した2019年版の「モビリティー・リポート」によると、インド領域(ネパール・ブータンも含め)の 携帯電話購入者の総数は、2024年には11億人に達すると予測されています。

高技術への移行が進み続ける

出典:Ericsson Mobility Report 2019

上記の表はエリクソン社のレポートのデータです。

インドにおける携帯電話利用者の増加現象は下記のように理解できます。

  • GSM携帯電話(2G)は2018年に市場の47%を占めている
  • スマホ・LTE技術は年々普及し2018年末に市場の38%までに拡大、2024年末には市場82%に達すると期待されている
  • モバイル・ブロードバンドは加入件数の50%を占めている
  • 5Gサービス は2022年の導入を期待されており、2024年末までに市場の6%を占めると予測されている

なお、2019年第一四半期にインドの携帯電話加入者数が前年比で1400万人減少しました。大手通信企業の数会社が、客単価を上げる目的で低額プランの加入者へ(プラン利用に関わらず)ミニマム料金を請求したことが原因と考えられています。

動画配信サービスの影響

2019年の第一四半期に世界におけるデータ通信量は82%に増加しました。原因としてはインドにおけるスマホ新規加入者の増加、または中国におけるスマホ一台当たりの月間データ通信量の増加が考えられます。

出典:Ericsson Mobility Report 2019

レポートによるとインドは世界最大のスマホ の平均月間データ通信量を占め、2018年のスマホ の平均データ通信量は9.8GB、2024年末には11%の18GBに増加すると述べられています。2位は北東アジアの地域で2018年末の平均データ使用量は7.1GB。インドにおけるデータ消費はReliance Jioが提供される低額スマホ料金プランまたは若者によるオンライン・ビデオ利用の傾向を反映していると考えられます。

5Gサービスへ

インドの通信大臣は年内に5Gスペクトラムのオークションを開催すると約束しています。オークションではインドの通信ネットワーク企業Reliance Jio、 Airtel、Vodafone Ideaの他Samsung、NokiaまたはEricssonの参加が決定されている一方で、フェアウェイの参加はまだ未定です。

Ericssonレポートに取り上げられる5Gサービスへの希望についての消費者調査結果に よると、インドのスマホユーザーの多くは、5Gサービスを利用するためにプレミアム料金または通常より66%値上りした料金 を支払う意思があり、 さらに国が5Gサービス開始後の半年以内に契約している通信サービス会社が5Gサービスを提供しなければ、 5Gサービスを利用可能な会社へ変更すると述べています(インドでは通信サービスのあらゆる契約があり、プリペイド契約の場合は通信業社を簡単に変更可能)。

Reliance Jioは5Gサービスの導入と共に、同ネットワークが利用可能なスマホを販売するといわれています。低額4Gサービスやスマホの登場によって「モバイルの革命」をもたらしたReliance Jioは、ブロードバンドや5Gサービスにおける更なる革新を期待されています。


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インドのインターネットユーザーが爆発的に急増中

July 4, 2019 By Shivani Gopalkrishna

著名なベンチャーキャピタリストであるメアリー·ミーカー氏が、6月にシリコンバレーで待望の「Internet Trends 2019」レポートを発表。その興味深い報告書は、インターネットのアクティブユーザーが2018年の時点で世界人口の51%である38億人に達し、前年比で増加していると述べています(前年は世界総人口の49%である36億人)。

世界のインターネット利用者数のうち、中国が世界一の21%を占め、次にインド12%、そしてアメリカ8%と並びます。下記の表を見ると中国と特にインドは、まだインターネット普及率が低く、アメリカと比べ今後の成長の可能性を期待されています。

出典:Internet Trends 2019

「Jio」がインドに起こしたデジタル革命

石油から小売に至るまで幅広い事業を展開するリライアンス·インダストリーズ。

その社長である大富豪ムケシュ·アンバニ氏は、2016年に「リラインス·ジオ」(以下「Jio」)を設立し、デジタル業に参入しました。350億米ドルを投資し、まだ道路がない地域も含めインド全域を、初の4Gネットワークで覆うことを始めました。最初の時点では無料電話とメッセージ、または無料データ使い放題プランを提供し、半年後にそのサービスを低価格で販売しました。通信業界の平均の4分の1の価格でサービスを提供することにより、遅れて市場に導入されたJioは、インドにおけるデジタル革命を引き起こしています。Jioはヒンディ語で「生きる」を意味します。「我々は通信企業ではなく、デジタルプラットフォームを構築しています。

ミーカー氏のレポートでは、Jioの登場以来インターネットの普及率が急増し、2019年にデータ利用は約18エクサバイト (EB)で、前年の倍になったと述べています。ネットワークのインフラの整備をものともせず、Jioにより映画、音楽、チャット、決済、ニュース、ファッション、多岐にわたるアプリが存在します。ミーカー氏によるとリライアンス社はオンラインとオフラインリテイル(小売)プラットフォームのハイブリッド事業の創業によって、実小売店舗とデジタルのインフラサービスを繋げ、加入者は3億人に上り、一年間でユーザー数を倍に増加させるという業績を達成しました。

アンバニ氏はJioの創立以来こう語ります「我々は通信企業ではなく、デジタルプラットフォームを構築しています」。昨年8月に行われた株主総会では、Jioの可能性について次の通りに説明しました。「同プラットフォームは、リライアンス·リーテイル店舗に3.5億人の顧客、3億人のJio加入者、そして全インドにいる3,000万人の小売商人を繋げます」。アンバニ氏はインフラを整備し、サービス業界の中心人物になると考えられています。

Jioは数億人に安いインターネットサービスを提供しながら、世界のテクノロジー、そして小売企業に市場を開放し、そればかりでなく低所得層者のための商品も開発しています。低額データを利用するための低額Jioスマホ(約1,000円)を販売し、読み書き能力のない人が、音声機能やスワイプで使用できるアプリも開発されています。これによって富裕層と低所得の格差を縮め、デジタル世界へのアクセスを広げています。

関連記事:低額モバイルデータによるパラダイムシフト

Jioが与えるインパクト

Jioが与えるインドの著しいデジタル化への影響を理解するために、ミーカー氏のリポートの他、米経済誌のウォールストリートジャーナルの記事、YoutubeまたはGoogleのインド展開にまつわるニュースを参考し、以下のようにまとめました。

  • 月間データ量は570%に上がる
  • インドでのインターネットユーザー数、そしてGoogle Playストアのアプリのダウンロード件数はアメリカでのダウンロード件数を上回る
  • Jioのスマホはフィーチャー・フォン市場(スマホの下に位置する中位の携帯電話)47%を獲得し、販売シェアでサムソン社を抜く
  • E-コマースの爆発的な成長を引き起こしている
  • Youtube, Netflixのユーザー数は5億人達成し、低額スマホで利用できるようになり、今後間違いなく映像配信は中心になる
  • 地域の多様な言葉でサービスを提供することが重要になる
  • 読み書き能力のないユーザー向け直感で理解できるスマホまたはアプリの開発することが重要になる

予想外にJioはインドに大きな転換をもたらしています。ブロードバンドサービスも提供し始め、デジタルサービス業の急上昇の上、海外または国内のスタートアップ・テックエコシステムにも極めて有益であると思われます。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

参考資料

  1. Internet Trends 2019. Meeker, Mary. June 2019.  (Pg 11, Pg 62-63).
  2. Two Years Ago India Lacked Fast, Cheap Internet – One Billionaire Changed All That. Wall Street Journal, September 2018. 

ユーザーリサーチの説得力

June 7, 2019 By Shivani Gopalkrishna


下記ページから、Googleのユーザーリサーチ調査に参加できます。Googleの製品や機能についての感想を伝えることが可能です。
https://userresearch.google.com

Google地図の事例

デザイン×テクノロジーの境界線で活躍し続けてきたジョン・マエダの言葉です。

The business opportunity for the future thinking designer is inclusion.

John Maeda

Googleは「次の10億ユーザー」を引き込むために多様性があるユーザーをプロダクト設計のプロセスに参加させ、包括的なアプローチを採用しています。インドに行う同社のユーザーリサーチについて説明します。

インドは、Googleのユーザーデータによると、世界最大の二輪車市場です。そのインドで、モーターバイカーがGoogle地図アプリを平均30秒程度で閉じてしまい、活用が進んでいないことが明らかになりました。もともとカーナビとして設計された地図アプリが、広がりつつある新興国のユーザーになぜ好ましくないかの問いへの、答えを見つけるため、インドとインドネシアにエンジニア、UXデザインナ、リサーチャー、プロダクトマネージャー、マーケッター含めた多様なリサーチチームを派遣しました。

ユーザーの環境に没入してリサーチを行った結果、もともとの仮説(ユーザー行動、プロダクトの利便性に関する仮説)は間違いだったと気がつきます。

Googleのリサーチチームはインドのバイカーをインタビューし、一日の生活のパターンの把握につとめ、渋滞が激しい環境でのバイクの乗り方を理解するために乗車風景を撮影しました。遠く離れたプロダクト開発チームが、バイカーが日々どのような生活環境のなかでバイクに乗っているのかを深く理解できるよう、綿密なユーザーリサーチを行ったのです。

結論として明確になったのは、バイカーは二輪車に乗る前に地図アプリを見て方向や目印を覚えるので、その利便性を高めると有用だということ。また、乗車中に活用できる、路線や到着時間の音声ガイドが必要になること。

豊かなユーザーインサイトよりGoogleの地図アプリの改善が行われました。地図アプリに「バイカーモード」を導入したのです。バイカーの利用を意識したインターフェイスは、目印をハイライトするよりシンプルなデザインに変更。渋滞を避けるための代替路線を提示するといった機能も搭載されました。バイカーモードは南米、東南アジア、などでも導入し、500万人のデイリーユーザー数を達成しました(バイカーモードの導入の前、地図アプリのデイリーユーザー数は100万人でした)。

こちらのリサーチプロジェクトについて書かれているGoogleデザインの記事「Designing Maps for Motorbikes」にはユーザーのローカルコミュニティーに入り込み、ユーザーとなる人々と共感し合える関係を築くことはより優れたプロダクトおよびより包摂的なサービスの開発につながると強調されています。

Googleは新興国ユーザー向け地図アプリの他、決済アプリのTez(インド専用)、モバイル定額料金利用が多いことに配慮しYouTubeの仕様を最適化し、オフラインウェブ検索などのローカル化といった新たなサービスが開発されており、同社の「次の10億人」市場を動かしています。

新興国の経済成長と共に、あらゆるユーザーを考慮に入れて包摂的なプロダクトをデザインする必要があります。テックプロダクト以外のサービス・商品の販売においても、対象となる消費者の生き方、環境、ニーズ、希望、直面する課題などを理解することが重要です。

変化が激しい多様性があるインドでの、様々なユーザーを重視するユーザー・エクスペリエンス・リサーチはマーケットのさらなる理解につながります。ユーザーが存在する「文脈」から引き出すインサイトはビジネスのプロダクトの設計の他、ブランド戦略、マーケッティング・コミュニケーションの指針となります。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

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