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QE Synthesis

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近年インドで増加する女性の投資の背景

May 2, 2022 By Shivani Gopalkrishna

インドの某投資信託会社の調査によるとわずか女性の33%しか投資していないという結果が出ました。三分の一の女性のみが投資をし、残りの女性は他人に任せていると考えられます。その一方で、64%の男性が投資にお金を費やしています。同調査は2019年に行われ、対象した女性たちは投資に関して父親よりも夫が管理していると述べました。

早期金融教育の不足の上、投資は男性の領分であるという考えを持つ女性がほとんどで、投資に関する責任を負うことに遠慮がちな姿勢を示しています。

インドにおける金融業界を含むワークフォースではキャリアウーマンの普及が進んではいるものの、従来より女性は金融サービス業界から軽視されていると考えられます。

2018年にローンチした金融アプリ「LXME」はこの課題を乗り越えようとしています。この女性専用投資アプリは金融教育、専門家によるアドバイス、アプリ内の投資に関するクイズやゲームを提供しています。同アプリのユーザーコミュニティーはその他の金融投資アプリのものより際立っています。

LXMEの女性ファウンダーは、あらゆる職業とライフステージにある女性を対象とし、そして女性が個人財源の管理に必要な知識を手に入れることが最も重要であると強調しています。

なぜ女性を対象とする金融教育・アドバイスが必要なのか

今年、インドの大都市、より小さい都市や町に住んでいるあらゆる職業の21歳〜45歳の4000人の女性を調査した結果、LXMEアプリ会社は女性の節約習慣、お金の使い方、また、投資活動について多くのことを発見しました。「Women and Money Power 2022」のレポートから以下のようなデータをハイライトしたいと思います。

お金の管理に関して、収入の20%も貯金しない女子が多いと示しています。

多くの対象者は投資をするために充分な収入が必要であるという誤解があります。

本調査は以下のように女子が投資するハードルを述べています。

  • 金融投資は男性の領分であると考えている
  • 金融業界に関しての知識が欠けている
  • リスクがあると判断している

女性の家計管理への関わりを見ると、状況は異なります。金融投資に関する決定権と比べ、家や車の購入、子供の教育、旅行、その他の家計費に関する決定権には、女性が大きく関与しています。

コミュニティが提供するソーシャル体験

女性専用のLXMEアプリは、その他の金融投資アプリと違ってユーザーコミュニティーを重視しています。限定されたグループの中では遠慮なく投資にまつわる疑問、心配、懸念などを表明する機会があり、コミュニティーの中の専門家またはメンバーが応じます。そのような同インタラクティブのプラットホームにおける質問、学習、メンバーの間の関わり合いによって互いに信用を獲得することにつながります。

各メンバーたちの力を合わせて「ソーシャル・キャピタル」、つまり、有意義なソーシャル体験を構築しています。重要な情報、アドバイス、貴重な経験、役に立つネットワークといった利点をメンバーたちと共有します。

そのようにしてLXMEアプリは、同じ考えを持つコミュニティーへの帰属感を作り出し、数多くの女性に疑問や懸念を表明できる心地良い場所を提供し、安心感をもたらし、投資に関しての自信を与えています。そしてコミュニティーのメンバーが力を合わせて金融業界を活性化させることに繋がっています。

LXMEアプリは、女性の投資に対する社会的不名誉を克服する力、そして自信を与えています。


LXMEアプリの例は、あるコンシューマセグメントに関する文化文脈、環境、行動、価値観を深く理解し、対象とする女性のセグメントのニーズに合わせたサービスの成功例です。インド社会における複雑なダイナミクスは消費者の行動まで反映しているので消費者の文化文脈をよく理解することが必要であると考えられます。


インド人のお金の使い方、貯金に関する考え方、また、女性、若者などに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

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インドの地方の若者の心を捉えたTikTokの影響力を理解する

January 2, 2022 By Shivani Gopalkrishna

一時期、動画共有アプリTikTokはインドで爆発的な人気がありました。2020年前半にそのピーク時には2億人ユーザーに達成し、中国を除く世界のトップクリエーターの15人はインド人でした。

単なるソーシャルメディアプラットフォームではなく、TikTokは従来インターネットに現れない地方の経済的に困窮している人々、下層カーストである人々の自己表現を可能にしました。TikTokの導入によって、下層の人々はインドにおけるデジタル化に初めて参加することができ、それに加えオンラインクリエーターとしてキャリアを築くことも可能になりました。

この新しいクリエーター層は田舎にいる貧困層としてコンテンツを投稿し、同じ状況下でいる大勢のフォロワーを引き付けました。それに伴い広大なインド の農村市場を狙う目的でPepsiをはじめ、日用消耗品企業はTikTokを利用して全インドにいる地方の若者を対象した戦略を実行しました。

TikTokプラットフォームで大成功を収めたクリエーターの兄弟、サビトリとサンタンの例を取りあげます。この兄弟は家の泥壁の小屋のそばで雨であれ、洪水であれ、どんな状況でも笑顔で踊っている動画を投稿し、3年間に渡って270万人のフォロワーを獲得しました。

聴衆の増加につれて兄弟は高い広告収入を得て、TikTokでセンセーションになりました。このように2017年に導入されたTikTokは驚異的な速さで田舎にいる若者達の間で人気を博していていました。

しかし、2020年中旬に中国と緊張が高まる中でTikTokを含め58件の中国のアプリが廃止されました。即時にインドの地方のタレント、労働階級からのクリエーター、貧困層の聴衆達はインターネットの世界から削除されてしまいました。

2020年前半までインドはTikTokの主要な成長原動力であった

出典:Sensor Tower, Times of India

2017年のローンチから2020年6月の禁止まで 6.11億ダウンロード回数 (世界の 30.3%)
インドでダウンロードされたアプリのOS版 アンドロイド
インド地域言語で利用可能である 15つ言語

田舎のユーザーを引きつけるTikTokのデザインの特徴

インドの幅広い人口の興味を引くTikTokアプリは、以下の賢いデザイン機能を生かして大きく進展したと考えらます。

  • 15秒の短い動画:低額スマホとデータプランを利用する幅広い人口に向けて適切な機能である。簡単にビデオを撮影し、アップロードができる。その一方、Youtubeプラットフォームでのクリエーターはより洗練されたスマホと高いデータプランを購入する必要があり、その上、田舎のシンプルな生活を表現するのには短い動画形成が好まれる。
  • 直感的なUXデザイン:アプリのUXデザインは教育を受けていない人々また初めてスマホを操作する層にも容易に使用できる。
  • 地方の熱狂的な音楽ライブラリー:動画のサウンドトラックになる音楽は地方で人気の音楽が提供されていた。地域にいるユーザーはこの特徴を非常に楽しみ、自分で撮影した動画に合わせる豊富な音楽を選べられることは、特にこのアプリが愛されるきっかけであった。その一方、インスタグラムやユーチューブではインドの主流音楽、インド映画産業のボリウッド映画のサウンドトラック、また欧米音楽しか提供がなく地域のヒット音楽まで揃えていなかった。

インスタグラムリールの登場

地方で人気をさらったTikTokと競争したインスタグラムは、インドのエリートユーザーに向けていたと思われます。お金、教育へのアクセスがある人々また現代的なライフスタイルを送る層はインスタグラムで海外旅行、高級料理と言った気ままな生活スタイルを描く都市風のコンテンツを投稿し、洗練されたライフスタイルに憧れを募らせています。

TikTokが禁止された直後、インスタグラムの短い動画機能「リール」は迅速にTikTokの空白を埋めることに成功し親会社Facebookの利益につながりました。ただし、Facebookはインスタグラムを通して中間・上流層を引き寄せることを重視し、厳しくコンテンツの基調を打ち出しています。インスタグラムのアルゴリズムは不鮮明な動画、ロゴやウォーターマークが写っている動画、また、低価格スマホに搭載されている機能である画面周囲のボーダーが表示された動画を推薦しないと発表しました。これによってインスタグラムはアプリへの高い参入障壁を設けていると考えられます。

その結果、TikTokが提供した多様なコンテンツ、また、あらゆる文化文脈からのクリエーター達が参加できるコミュニティーの代わりにインスタグラムのリールでは精彩を欠いた野心的なコンテンツがあふれて、中流階級の生活のあり方そのものであると思われます。中間層の外にいる経済的に困窮している層にとって手が届かないものばかりが並んでいます。

しかし、2020年7月にローンチしたインスタグラムのリールはうなぎ上りに成長しています。インスタグラムの2.1億人のアクティブユーザーは日々600万の短い動画をアップロードしています。更にインド系の動画共有プラットフォームも登場しています。加えて地域言語ソーシャルメディアのShareChatの動画共有プラットホームMojでは、日々250万動画がアップロードされています。

TikTokが生み出したクリエーターはインスタグラムまたユーチューブで活躍し、試行錯誤してコンテンツを作成しています。彼らによると聴衆は増加しているが、TikTokと比べるとプラットホームのセンスやフォロワーからの期待が異なり、より洗練されているコンテンツや見栄えの良いクリエーターが求められているといいます。

動画共有プラットホームとして現在、ユーチューブの人気が上昇しつつあり、地方ユーザーに向けたSnapchatも再熱しています。インドの多様な社会の鏡であるユーザー作成コンテンツ市況は常に変化していくと考えられます


ソーシャルメディアの行動、デジタル広告トレンドなどに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

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コンシューマとの関係を強化するインフルエンサーマーケティング

January 2, 2022 By Shivani Gopalkrishna

「コンシューマは自身に対する評価、そして自文化への解釈によって商品を有意義なものにする」

人類学者サム・ラドナ氏

化粧品、美容製品 またファッション製品の大手ECサイトNykaaは先月に歴史的な新規株式を公開し、50代 の女性CEOは一代でインドの億万長者となりました。営利事業であるNykaa社のビジネスモデル、そして大成功しているマーケティング戦略が注目を浴びています。

9年前に設立されたNykaa社の95%の売り上げは、同社のECサイトまたアプリであり完全にデジタル事業であると言えます。デジタル販売を伸ばしているデジタルマーケティング戦略によってソーシャルメディアでは1260万人のフォロワーを持ち、ブランドに忠誠心を持つインフルエンサーコミュニティーを構築しています。

Nykaaのインフルエンサー(Nykaaインスタグラムより)

メイク方法を紹介するビデオやブログ投稿、美容またファッションに関するその他の魅力的なコンテンツを投稿している約1,300名のインフルエンサー達によってNykaa社は特定のオーディエンスをターゲットにし、効率よく顧客を掴み顧客維持率を高めていると考えられています。Nykaa社の充実したアフィリエイト・プログラムに参加するインフルエンサーまたブロガーは、フォロワーと製品の紹介ビデオ(メイク方法など)などのコンテンツと共に製品を購入するためのリンクを共有し、訪問者がそのリンクをたどって商品を購入すればコミッションを手に入れます 。それらの化粧品・美容商品に対する指導ビデオ・コンテンツはエンターテインメントとして美容スキルを教え、顧客を引き寄せることでNykaa製品の需要を増大させていると考えられています。

このようにインフルエンサーやコンテンツ・クリエーターを活かした事でNykaaのFace Book・Instagram・You Tube Channelでは平均の月間アクティブユーザー数が3〜3.5億人を達成しています。さらに、Nykaaの爆発的な人気に便乗するように若いボリウッド女優はブランドと連携した特別商品をローンチし、事業の信頼を高めることに尽力しています。

このようなデジタルマーケティング戦略とインフルエンサーの活用は低コストで行われているため極めて効果的な戦略であると考えられ、その他のECプラットフォームや消費者向けのブランドも同様な戦略を実践に移しています。

ユーザー生成のコンテンツ

インフルエンサーが投稿するコンテンツの他、大手消費者ブランドは一般ユーザーの自己表現力も活かせるようになっています。昨年コロナウイルスによるロックダウンにおいては「オレオ」クッキーブランドを所有するモンデリーズ・インディアは消費者との交流として「家でオレオと一緒〜」(#AtHomeWithOreo)キャンペーンを企画しました。

オレオのユーザー生成コンテンツのキャンペーン

キャンペーンの参加者はオレオを利用する新しいレシピ、家族と一緒に過ごす時間、ロックダウン中の生活、新しい趣味などの 動画や写真をソーシャルメディアで共有していました。キャンペーンの動画の閲覧者数は2900万数で、2.49億インプレッション(再生回数)を達成しました。

オレオのキャンペーンは、特に家に閉じ込められた人々に自分の生活や思い、自己表現を促しコロナ禍の経験に対する感情に共感し合うことで顧客との関係を強化し、ブランドの存在感を高めました。

ふさわしいクリエーターを活用し、適切なメッセージを伝える

様々な選択肢、また商品に対する情報があふれている一方で商品に対して信頼が欠けている現代では、ブランドはコンシューマの信用を得ることが最も重要です。コンシューマは常にブランドとのより深い関係性 、また真正性のある有意義な繋がりを求めています。上記の例が示しているようにNykaaとオレオのブランドはインフルエンサーやユーザー生成コンテンツを上手に活かし、顧客との関係を強化し、ブランドの存在感、消費者想起率そして売り上げを伸ばすことに成功しました。


ブランドはコンシューマの置かれている状況、マインドセット、悩みと言った価値観をコンシューマの文化文脈で解釈することが非常に重要です。そうすることでコンシューマと共感できるインフルエンサーまたクリエーターを活用することにつながり、時代にふさわしいコンテンツの作成が可能になります。このようにして、製品は消費者にとって意味のあるものになっていきます。


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ヘッダー画像:インド映画産業、ボリウッド女優はインスタグラムでNykaaの化粧品のチュートリアル動画を投稿している。(NykaaのInstagramより)

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インドにおけるデジタル金融インフラ

August 13, 2021 By Shivani Gopalkrishna

コロナウィルス感染拡大によってインドではデジタルペイメントが「あるといいもの」から「不可欠なサービス」になったといわれています。下の表が示すように2020年4月〜2021年6月の間で行われたデジタルペイメントの取引件数は20.37億件数から46.17億件数と2倍に拡大しました。この1年間では小さな街に住むユーザーに加え50代以上のユーザーの増加が見られます 。

Covid感染におけるデジタルペイメントの拡大

出典:National Payments Corporation of India (NPCI)

デジタルペイメントに関して、インドのような途上国は先進国より先を行っていると考えられています。

元々クレジットカード、デビットカードがそこまで普及していなかった状況であり、ゼロから新しい決済方法を採択することになっています。インドにおけるデジタルペイメントシステムは世界をリードするモデルであると考えられています。

そのようなデジタルペイメントを可能にしているインドの特有のUPI(Unified Payments Interface)プラットフォームは、食材から株式投資に至るまで、ほとんどのオンライン決済に利用されています。UPIはインド中央銀行と幾つかの銀行から成っている非営利団体です。

昨年と今年で全国ロックダウン中のデジタルペインメントが急速に多くのビジネスや個人にとって金融の命綱になったシステムを深く掘り下げていきます。

デジタル公益

2016年に設立されたUPIはプラットホーム上でのあらゆる送金方法を利用できます。例えば、バチュアル・ペイメント・アドレス、UPIのID、携帯電話番号、銀行口座番号、そしてインドの特有のデジタル識別番号「アーダール番号」によって即時のペイメントが実現します。また、上記の 認証番号が含まれるQRコードも利用可能であり、事業とコンシューマーの間(B to C)、事業の間(B to B)、または個人のユーザーの間(C to C)と、あらゆるタイプの決済を容易にしています。更に人手をかけず24時間シームレスアクセス可能であり、手数料はかかりません。

Googleを始め、Walmart、Amazonといった世界の大手テック企業、そして230以上のインドの銀行はUPIのプラットフォーム上に決済アプリを開発し、UPIが提供している柔軟性と相互運用性のあるデジタルインフラから多くの利益を得ています。つまりUPIプラットフォームは、規制の厳しい銀行と、大手ハイテク企業が運営する規制の緩い決済アプリとの間の取引を促進しています。それにより金融サービスを提供する事業の間での競争を盛んにし、イノベーションの原動力になっています 。

2016年、UPIの登場前は紙幣の利用がほとんどで、銀行口座を持たない人口の割合も多かったものの、2021年の現在では屋台で食べ物を売るマイクロ起業家を始め、社会は積極的に デジタルペイメントを受け入れています 。加速的な変化を表す右の表をご参照ください。

デジタルペイメントへのシフト

出典:Reserve Bank of India

基礎になるデジタルインフラ「インディア・スタック」

証明できるID(証明書)は近代経済の基礎であると言われています。2010年にインドでは個人のバイオメトリクス認証を含めた識別番号「アーダール番号」が導入され個人を 12桁の番号を含む特有のデジタルIDで振り分けました。それはデジタルインフラの基礎になる初のプラットフォームであり、最初のデジタル公益だといわれています。現在インド国内に滞在する人口の12億人以上がアーダール番号を所用した事で、個人のID検証が可能になり、金融包摂において極めて大きな役割を果たしています。

アーダールはデジタルプラットホームと言います。アーダールの認証によってその他デジタル金融サービスが可能になりました。アーダールのようなIDプラットフォームがデジタルペイメントを可能にするように、eKYC、eSign、DigiLockerなどの他のプラットフォームは、デジタルインフラのID層のビルディング・ブロックを構成しています。同様に、UPIやインスタントトランザクション(IMPS)などは、デジタルインフラの決済層の構成要素となるプラットフォームです。積み重なっているレイヤーは「インディア・スタック」と言います。現在3つのレイヤーが機能しています。

 認証レイヤー       アーダール番号によってオン・デマンドで個人の認証が行われる他、eKYC(銀行口座を設立するための検証処理)eSign、DigiLockerの機能も提供している
 ペイメント
 レイヤー 
UPIは唯一のペイメントプラットフォームとして、第三者決済アプリとユーザーの銀行口座との連携によって、法定金融システム内で即時のペイメントを可能にしている
 データが共有
 されるレイヤー                  
プライバシーを守りながらユーザーの承諾によってデータを活躍してあらゆる金融取引を安全かつ円滑に進めている

各レイヤーは複数のプラットフォームで構成されています。プラットフォームが連携してサービスを提供することで各プラットフォームは、それぞれ の目的を果たしています。(アーダール とUPIのプラットフォームが連携してデジタル決済が実現など)。各プラットフォームはあらゆるユーザーに直接的あるいは間接的に繋がることによって進化し、ユーザーのニーズを満たす大規模サービスを提供する柔軟なモジュール開発であると言えます。

インディア・スタックが提供している公的なデジタルインフラによって公共と民間 は価値の創造を促進され、手数料の減少も実現しています。

当たり前になるデジタルペイメント

具体的に、こちらのデジタルインフラが一般人にどのように役に立つのかを理解するためにシーマさんの例をみてみましょう。

こちらは田舎からバンガロールに移住したシーマです。シーマは衣料品工場で働いていて、住所不定の移住者としては銀行口座を開くことが難しいです。シーマはアーダールカードに登録し、バイオメトリクスデータにつながるデジタルIDを取得します。このアーダール番号とバイオメトリックデータだけを使用して銀行口座を開くことができ、あらゆる金融サービスプロバイダーはシーマのIDを容易に認証できることになります。

デジタルインフラのレイヤーによってシーマはアーダール番号と携帯電話番号と銀行口座番号を簡単なペイメントアドレスとして統一します。このペイメントアドレスは雇用主と共有し、フィンテックアプリによって給料へのデジタル的なアクセスが可能になります。

デジタルインフラのペイメントレイヤーを利用して、シーマは田舎にいる母親に決済アプリ上で即時の送金することができ、母親はアーダール番号とバイオメトリック認証によってお金を引き出すことができます。

デジタルペイメントを可能にしているUPIプラットフォームは使いやすくシンプルなインタフェースで、銀行とフィンテックアプリの交流を促しています。銀行は金融取引のバックエンドを管理し、フィンテックアプリはユーザーとのフロントエンドの操作を行っています。銀行とテック企業との有意義なパートナーシップはプラットフォームの成功に貢献していると思われます。その他の影響的な要因は以下のようになります。

UPIの著しい成長を支える要因
スマホの高い普及率
定額のデータ料金
インド 政府のキャッシュレス経済への政策
  第3者のフィンテックアプリも利用可能なプラットフォームによって大規模な    イノベーションと普及を促進
2016年11月に500ルピーと1,000ルピーの紙幣廃止

UPIの著しい成長と共にプラットフォームでの負担も増加されて、効率に影響を与えています。

需要に沿って、中央銀行は民間企業にUPIのようなペイメントプラットフォームのネットワークを構築することを促しています。Google、Walmart、Amazon、Relianceのような大手小売事業も小売とつながるデジタル決済技術または中小企業を対象とする投資サービスを開発することに関心があります。

アプリ 取引件数(億件数) 市場シェア
PhonePe (Walmart所有) 11.9 46%
Google Pay 9.0 35%
PayTm 3.2 13%
トップ3の決済アプリ

今後、これらのテック企業より大規模である金融プラットフォーム、または金融プロダクトによる更なる進展が期待できると考えられます 。その上、UPI上でも融資を中心するサービスは、ユーザーの承諾によってクレジットヒストリーにつながる融資機能により小さい債務者にローンにアクセスをすることを可能にし、効率的かつ融資コストを削減することを可能にします。また、コンシューマーにとってローンやクレジットをアクセスすることが容易になると消費行動を促す上、新しいビジネス機会につながると考えられています。

関連記事:非接触ペイメントの時代


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参考資料:

国際決済銀行より「The Design of Digital Financial Infrastructure: Lessons from India」 レポート2019年12月

インド中央銀行統計 (RBI Bulletin)

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非接触ペイメントの時代

November 2, 2020 By Shivani Gopalkrishna

インドの最も大きい民間銀行HDFC Bankは、国の厳しいロックダウン中に25万の新規口座開設を達成しました。同銀行は、オンラインで基礎検証を行い即座に口座開設を完了すること可能にしています。その後、顧客は1年以内に残りの書類を提出します。

現在インドでは730万人以上のCOVID-19感染者がいると報告されています。感染の拡大につれて紙幣の使用を避け、非接触のデジタル決済による支払いを選ぶ人が急増しています。この現象に関しての面白いデータを以下のようにまとめています。

金融取引に関する行動変容

アメリカのコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain and Company)は、Covid-19感染による銀行サービスへの顧客の行動変容に対して調査を実施しました。本調査は、8カ国に渡って1万人を対象に行われ、9月上旬に発表されました。その調査結果から作成された以下の表は、非接触決済サービスに関する行動パターンを示しています。

対象国の中でインドは初めて非接触決済サービスを利用する対象者が最も多いという報告があり、感染対策として高齢者または田舎や小さい町に住んでいる新たな顧客層を非接触決済へ引き込んだことが理由だと考えられています。

ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成
ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成
ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成

それに伴い調査した国では現金、小切手のような従来の金融取引を避ける人、またはやめる人は対象者の中で、平均30%の割合を示す結果が出ました。インド、ブラジル、イギリス、中国は平均割合を超えています。銀行支店への訪問を減らす、またはやめる対象者の割合は平均で41%。同様に、インド、ブラジル、イギリス、中国とポーランドは平均を超えています。

ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成
ベイン・アンド・カンパニーのデータより日本語で作成

インドにおけるデジタルペイメントの加速

United Payments Interface (UPI)は、インド政府が運営するデジタル決済のインターフェイスです。同システムによって複数銀行口座を一つのモバイルアプリで‘金融機能を統合して利用出来ます。複数の銀行口座への操作、即時の送金、小売業者のアプリ内での決済機能等が特徴的です。また、規制ガイドラインに従った2要素の本人認証でのログインが可能です 。

出典:NCPI

2016年にローンチしたプラットフォームであり、先月には Google Payをはじめ、インドのデジタル決済アプリのPaytm、PhonePe等の業者、174の銀行が加盟しています。その結果、 COVID-19感染が拡大して以来、金融取引が急増しています。以下の表が示しているように、今年の3月と4月のロックダウ

ンによって経済活動が停止し、3月に初めてUPIにおける取引件数が減少し、4月にさらに20%に減少しました。そして5月にようやく経済活動が再開されて以来、UPIで行われる取引件数は急激に上昇しています。

COVID-19感染は従来のトレンドを加速させていると言われています。HDFC銀行が提供するオンライン即時の口座開設のサービスは、新しい時代に応える革新的なデジタル販促の例です。また、インドで大人気のチャットアプリWhatsAppが導入されたWhatsapp Payもデジタルクレジットのイノベーティブなサービスを提供する予定があります。インドのデジタル決済エコシステムにおける著しい成長もトレンドの加速の例の一つです。

数十万の商人または数百万の人が毎日取引をするUPIプラットフォームは、インドのデジタル革命の重要な役割を果たしています。UPIのワーキングモデル、背景、どのような成功をデジタル決済の革命にもたらしているのかを次掲載する予定の記事にまとめています。


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繁栄しているインドのアプリエコノミー

June 3, 2020 By Shivani Gopalkrishna

インド人の成人の4分の1は高血圧を患っています。そして全体の半数しか診断されておらず、高血圧の予防が出来ている人数はそのわずか10%のみです。 その重大な公衆衛生問題に取り込んでいるNPO Vital Strategiesは、バンガロール市に位置するデザインスタジオObviousと共に昨年、医療従事者向けに高血圧患者の管理をデジタルプラットフォーム上で可能にするアプリ、Simple をローンチしました。無料のアプリで、操作性が良く、患者のデータ収集を可能にします。Simpleアプリによって医療従事者は、簡単に患者の血圧データや投与する薬の記録をデジタル化にして、ダッシュボード上で患者病歴を閲覧し、アプリ内で患者をフォローアップする自動連絡機能があります。患者の効果的なモニタリングの上、いつも混雑している病院では医療従事者は患者とより充実した時間をすることにもつながります。現在、Simpleはインドにいる25万人の患者の治療を管理し、2020年内に全国またはその他途上国に導入する予定です。

Simpleアプリで患者の血圧の記録、治療のモニターリングまたはフォロアップ連絡を簡単に管理できる
Simple.orgより

Simpleのようなアプリはヘルスケアにおけるデジタル化の一つの例です。ヘルスケアの他、政府(ヘッダー画像)、金融、小売、建設、不動産といった物質的な業界でもアプリの浸透によってデジタル化が急速に進み、より多くのユーザーにサービスを提供することが可能になりました。

そして物質的な業界にデジタル化を実現するデベロッパーの需要が非常に高まっています。次のようなデータを参考にインドのアプリエコシステムの展望を描きたいと思います。

アプリ開発の求人数

@GitHubIndia

アプリ開発に欠かせないソフトウェア開発プラットフォームのGitHubは、今年の2月にインドにオフィスを設立すると発表しました。インドには16.8万GitHubのアカウントがあり、アメリカ、そして中国に続く、インドは世界の第3位のデベロッパーコミュニティです。

アメリカの政策シンクタンク Progressive Policy Institute は、インドにおけるアプリエコノミーに関して2019年9月にレポートを発表しました。レポートによると2019年8月現在にインドでは167.4万件のアプリ開発求人広告があり、2016年の120.8万件の推定より39%も増加しています。

方法論として同レポートの研究者は、アプリ開発にまつわるオンライン求人広告(Indeed.comの求人サイトより)を解析し、スキルまたはiOSやアンドロイドの知識を求める広告に集中しました。また、テック企業の他、金融機関、メディア企業、小売企業、アプリのセキュリティの求人まで分析を行いました。

レポートで発表されている最先端の国アメリカとEUのアプリエコノミー求人と比較する表は以下のとおりです。

国アプリエコノミーにおける求人推定の日付
インド167.4万2019年8月
アメリカ224.6万2019年7月
EU(スイスとノルウェーも含め)209.3万2019年4月

出典:Progressive Policy Institute


多くのアプリ開発の仕事はiOSとアンドロイドの両方のエコシステムで従事しているが、同レポートの内訳では167.4万人のデベロッパーの中87.3万人がiOSエコシステム、または135.9万人がアンドロイドエコシステムで活躍していると推定されています。

レポートの筆者が書かれているようにアプリエコノミーの従業員の数は、どれほどのスピードで社会のデジタル革命の次のステージ、つまり物質的な業界のデジタル化が実現するのかを示していると考えられています。

さらに広い経済的な側面

インドでは所得層や地域を問わずスマホの浸透が著しいです。それに伴い、あらゆるサービスの消費者または供給者に向けた多岐にわたるアプリがますます普及しています。そして、アプリインストールの統計もこの現象を反映しています。モバイルアプリデータを分析するアプリ・インテリジェンス企業Sensor Towerによると、2019年の第一四半期にインドでは45億のアプリインストール数があり、アメリカの30億アプリインストール数を上回って、世界の最大の数だと言われています。そして、アンドロイドのスマホが浸透しているためGoogleのプレイストアからのアプリのダウンロードが極めて多く見られます。

インドの経済研究シンクタンク ICRIER (Indian Council for Research on International Economic Relations) が2015年に発表された報告書によるとスマホの浸透率の各10%の増加につれて、国内総生産も1.5%増加し、それは技術のネットワーク効果による経済的な影響の拡大だと考えられています。同レポートは2024年までにデベロッパーの人数ではインドはアメリカを上回ると予測しています。


AppストアまたはGoogleプレイストアの低い配達費、更には小さいデベロッパーもスケールメリットが実現できることによって、アプリ業界は世界的なレベルで起業家の文化を生み出しています 。今後GitHubのインド事務所の設立、またFacebookやその他有力投資家によるインドの通信テクノロジー企業Jio Platformsへの大投資は従来の物質的な業界のデジタル化を更にスピードアップさせると期待されています。


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参考資料

Mandel, Michael, Elliott Long. The App Economy in India. Progressive Policy Institute. September 2019.

Kathuria, R., Chowdhury, S., et al. An Inquiry into the Impact of India’s App Economy. Indian Council for Research on International Economic Relations. April 2015.

Header Image: Shutterstock.com

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中小事業におけるデジタル化の波

May 3, 2020 By Shivani Gopalkrishna

先月4月21日、Facebookはインドの革新的な通信企業であるReliance Jioへ57億米ドルの投資を発表し、同社の少数株(9.99%)を取得しました。 このニュースはビジネス界で大きな関心を集め、分析されました。その結果、この投資には以下の2点が特に重要であるといわれています 。

  • 現状の危機を乗り越えることがあらゆる中小企業にとって新たなビジネス拡大のきっかけとなる
  • アメリカの有力テック企業はインドのオンラインエコシステムに進出の競争が激化する

コロナウイルスの拡大によって生じる危機は特に中小企業へ悪影響を及ぼすと考えられています。この状況下でFacebookとJioのパートナーシップは、小売業界に必要な刺激となる可能性があります。Facebookの他、Google、Microsoft、Amazon、Ciscoのアメリカのテック企業は、インドの大手サービス企業との連携や起業家の育成の為の投資ファウンドの設立で、莫大な需要が望めるビジネスチャンスを掴もうとしています。

世界一のインターネットユーザー数を誇るインドでは、中小企業のデジタル変革が加速しています。


国の中心となる中小事業のキラナ店舗


インドには6000万の中小企業があると言われています 。その多くの事業は未組織の小売業界である日用品のキラナ店舗または生活用品の店舗です。全国にある約1500万のキラナ店舗は、 その地域の日常品のニーズを満たし自宅までの配送サービスも提供しています。

現在コロナによる異常な状況では、日常品をオンラインで購入する人が急増しています。しかし、E-コマース事業に大きな刺激を与えている一方、ロックダウンによる困難または物理的な不足がE-コマース事業の弱点を明らかにしています。 キラナ店舗は各近所にあるため、配達に関してラストワンマイルの物理的なハードルを超えることができます。こういった環境の中、Reliance Jioの食料雑貨事業JioMartとFacebookが運営するチャットアプリのWhatsappの間の連携はとても面白い試みです。

ユーザーは、Whatsappチャットアプリ内でJioMartの商品を注文し、JioMartによってその注文を最寄りのキラナ店舗に割り当てられ、請求書をWhatsappで発送します。この仕組みによってユーザーを最寄りのキラナ店舗とオンラインで繫がることを可能にしています。将来、商品の注文から決済に至るまでをWhatsappチャットアプリ内で完了することを目標しています。このようにWhatsappの非常に高い普及率(インドでは4億人が利用)を活かしてキラナ店舗のデジタル化が行われています。顧客が中小事業につながり、商品をオンラインで閲覧すること、商品に関する質問の回答を得ること、また支払いもオンラインで可能にすることでスマホでのシームレスのデジタルショッピング体験が実現します。

Reliance JioとFacebook、大手の両社は取得している巨大なユーザーベースにその他サービスを販売するチャンスを手に入れる上、消費者行動データの貴重な源となると予想されます。同様にその他の大手テック企業、アメリカの有力企業もインド社会・中小企業にデジタル変革をもたらしています。


世界一のデジタル市場を開拓するアメリカのテック企業


NASSCOM (全国ソフトウェア・サービス企業協会)のクラウド・サービス市場についてのレポートによると、2022年までにインドのクラウド市場は70億米ドルの価値を超え、SaaS市場も35億米ドルに達すると予測されています。インドにおけるデジタルサービスの迅速な採択の継続は、以下の企業活動の成果だと考えられます。

Google

通信企業Airtelとパートナーシップを構築し、Airtelのクライアントである2,500大手企業、また50万の中小事業のスタートアップに、グーグルドキュメント、ドライブ、カレンダーといったグーグル・クラウドのサービスを提供しています。事業のデジタル変革を促し、GSuiteによる協調ツールと生産性ツール、そしてAirtelのデジタルビジネスサービスは中小事業におけるデジタルイノベーションを実現しています。

Amazon

今年1月にAmazon創立者ジェフ・ベゾス氏はインドに訪ねた際に、インドの中小事業に10億米ドルを投資すると発表しました(当時、インドの商人組合がAmazonの略奪的価格設定へ抗議を行いました)。その投資は中小事業のデジタル化を促進し、より多くの顧客を引きつけ現地生産の商品の輸出を促すことが目的です。

Microsoft

MicrosoftはReliance Jioとの戦略的連携を図って10年間に渡るインド社会のデジタル変革を促進する予定です。それは通信ネットワークへの接続性をはじめ、コンピューティング、ストレージソリューション、及びその他サービス・アプリケーションの提供です。そしてMicrosoftのAzureクラウドサービスを活用するためにReliance Jioと共に全国にデータセンターを設立します。更にJioはMicrosoftのクラウドとプラットフォームサービスをスタートアップに無料で提供し、中間企業に定額の料金を徴収します。また、ヴォイスとコンピュータービションの統合的なサービスをインドの主な言語で開発する予定があり、より多くのユーザーが活用することを可能にします。

Cisco

2019年にアメリカの通信機器メーカーCisco社は、インド通信企業Airtelと共に中小企業へネットワーク接続性のソリューションを提供しました。同連携ではAirtelによってSD-WANネットワークがCiscoのプラットフォーム上に開発され、集中制御であるポリシー及び一般的な管理によって中小企業のデータフローが最適化されました。


インド経済の急速なデジタル化につれて、中小事業のニーズが進化しています。アメリカのテック企業は中小事業が抱くビジネスの可能性に対して熱心に答え、革新的なパートナーシップを構築し、デジタル変革を推し進めるためにあらゆるツールまたはサービスを提供しています。そしてそれは同大手テック企業にとっても大きな利益を生み出しています。インドの中小企業にサービスを提供しながら、彼らの数億人にもなる顧客の消費パターン(超ローカルの)のデータを解析し、それはデジタル広告ビジネスの貴重な収入源となり、また新たなサービスにつながると考えられます。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


参考資料:

Facebook’s investment in Jio takes on US tech firms betting on India. April 22,2020 

Google partners with Airtel to offer G Suite to small, medium businesses. January 20,2020  

Jio and Microsoft announce alliance to accelerate digital transformation in India. August 12, 2019

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スマホゲーミングの爆発的人気

April 27, 2020 By Shivani Gopalkrishna

世界中におけるコロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンの影響で、ストリーミングエンタテインメント業界が賑わいを見せています。またFacebookはゲームストリーミングアプリのローンチを2ヶ月繰り上げしロックダウン中の人々のエンタテインメントニーズを満たしています。

インドでも3月下旬にロックダウンが発令されて以降、スマホゲーミングアプリのダウンロード数はうなぎ上りです。明らかにこの2〜3年はスマホゲームの成長が加速しています 。更にマネジメント・コンサルティング会社KPMGとGoogleが共に発表したレポートでは、インドのオンラインゲーミングは2021年までに11億米ドル産業に達すると予測されています。


ロックダウンの影響

ロックダウンの環境により、家族や友人と一緒に楽しめるマルチプレイヤーゲームの人気が高まっています 。 その中でも戦略的なボードゲーム、ポーカーまたはラミーのようなカードゲーム、ファンタジースポーツ、クイズといったジャンルが人気です。ユーザーは他人との競争や勝負を楽しみ、友人またはその他プレイヤーの間で高い評価を得ることによってマルチプレイヤーゲームに夢中になり、エンゲージメントの急増につながっています。ユーザー数の増加の上、アプリに割く時間が伸び、時間帯も昼夜問わずバラバラです(特に昼間のユーザーが増加)。

会社ゲームデイリーアクティブユーザー数ロックダウン次第ユーザー数の成長率
Paytm First Games200ゲームの中賭博ゲームのラミーが最も人気50万人200%
(毎日7万5千新規ユーザー)
Gameberry LabsLudo, Parchisi の戦略的なボードゲーム350万人300%
Poker Dangalポーカー6500人35%
Adda52Rummyラミー1万人200%
Rein GamesReal Money Ball Pool(唯一のゲームである)1万人(平均冷やす時間=60分)2〜3倍

双方向エンターテインメントかつ金銭的な利益となるゲーム

インドでは、ラミー、ファンタジースポーツにおける賭博ゲームは合法です。そして儲けを得るには、運だけではなくある程度のスキルが必要になります。

その背景を活かしてPatytm First Gamesをはじめ、ファンタジースポーツのユ二コーン会社Dream11及び数多くのゲームは報酬(お金 、新モデルのiphone、海外旅行など)を与えています。報酬の規模を理解するためにPaytm First Gamesの例を挙げましょう。同社は毎月1億インドルピーの報酬を与えてユーザーベースを拡大しています。 そしてPaytmの収益の40%は、ギャンブルのゲームが占めています。

Dream11は国民的競技であるクリケットの他、サッカー、バスケットボール、伝統的なカッバディというスポーツのファンタジーゲームを提供しています。8000万人のユーザーを獲得したDream11は、大手中国企業テンセントから1億米ドルの資金を受けて、昨年ビジネスインテリジェンスプラットフォームのCB Insightsよりユニコーンとして評価されました。

2019年に発表されたKPMGインド社のメディア・エンタテインメントレポートによるとARPU(ユーザー1人当たりの平均売上)またはユーザー数の増加の傾向によってオンラインゲーミング業界の成長は以下の表のようになると言います。

オンラインゲーミング産業の評価2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度年複利成長率(2020年度〜24年度)
10億インドルピーの単位87.8118.5154.0200.2250.332%
インドのオンラインゲームのユーザー数2018年度2019年度2020年度(予測)2022年度(予測)
100万人の単位269300365440

2020年〜2024年の成長は、地方のユーザーが後押しすると考えられます。

スマホゲームの有望な将来

2月24日にムンバイで開催されたマイクロソフトのイベントで、CEOサティア・ナデラ氏とインド最大の民間企業リライアンス・インダストリーズの会長であるムケーシュ・アンバーニー氏との会談で、アンバーニー氏はインドのゲーミング産業について次のように述べました。

ゲーミングを知らない世代の人々には想像しにくいですが、ゲーミングは音楽、映画、テレビ番組を組み合わせたものより大きなコンテンツになると思います。

ムケーシュ・アンバーニー氏

Source: Microsoft News

2016年に定額のスマホデータの提供によってデジタル革命を引き起こしたアンバーニー氏によると、若者人口の多さと巨大なインターネットユーザーベース(世界の2位)が、スマホゲーミングの著しい成長のきっかけだといいます。

さらに、以下の傾向はスマホゲーム産業の成長を支えると考えられます 。

ユーザーのベースの拡大
  • 手頃なスマホ(2022年までに8.5億人のユーザー数に達成すると予測される)または定額データ契約プランの普及。
  • インターネットスピードの向上。
  • ユーザーベースは18才〜45才であり、ロックダウン中の30代と40代のユーザーの増加。
  • 女性ユーザーの増加。
  • 2021年までに5.4億人のユーザーが現地の言語でインターネットをアクセスするという予測による多言語でのアプリの提供。
リアルマネーゲームの人気
  • ファンタジースポーツリーグ、カードゲーム、クイズゲームは急成長している。
  • 向上心に溢れるインドの若者は、金を稼ぐことまたはエンターテインメントであるリアルマネーゲームに惹かれている。
  • マルチプレーヤーゲームはインタラクティブであり、その他プレイヤーと一緒にゲームを楽しめること、競争できること、また、友人やその他ゲーマーから注目されることが重要である。
  • 報酬または自分のコミュニティから認知を得るという願望が満たされる。
充実したエコシステムの構築
  • 90%のゲーマーはスマホでゲームをするためソーシャルメディア、デジタル決済、E-コマースなどのあらゆるアプリまたはサービスに繫がることができる。
  • スマホを中心にソフトバンク、アリババ、テンセントといった大企業かつ投資家の事業が成功している為、彼らにとってインドのスマホゲーム業界は魅力的であり、投資している。
  • メディア・エンターテインメント・食事配達・デジタルペイメントアプリのような取引事業は顧客の確保または保持する為のマーケティングにゲームを活用している。例として食事配達サービスZomatoや決済アプリGoogle Payが挙げられる。両者はファンタジークリケットのゲームを自社のアプリで提供し、報酬として自社のサービスで利用できるポイントや賞金を与えている。
  • プロのプレイヤーの急増。
  • スマホゲーム業界は有能なアプリ開発者、エンジニア、デザイナーを誘致している。

スマホゲームに夢中な若い世代はテレビや映画より、ゲームが提供する没入型のプレイヤー体験、刺激、コミュニティーからの認証または報酬にハマっています。そして、インドのデジタル革命によっていわゆる「次の10億人のユーザー」は地方にある小さい町・村から出てきます。このユーザー層にとってスマホは世界への鍵であり、唯一のエンターテインメントのデバイスです。都市部のユーザーであれ、地方のユーザーであれ、強い熱望を抱いている若者はオンラインゲームを通して野望を自己実現すると思われています。そして、この需要はイノベーションのきっかけになり、より洗練されたゲーム体験、または改善されたユーザーエンゲージメントに繫がると考えられています。


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表1の出典:

Economic Times. For Indian gaming startups Covid-19 lockdown is a boon for business. 2020年4月13日
Yourstory. Online gaming startups see a surge as India locks down to fight coronavirus. 2020年3月31日

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インドにおけるクラウドファンディング・プラットフォームのブーム

April 21, 2020 By Shivani Gopalkrishna

コロナウイルス感染の拡大に伴う5週間に及ぶロックダウンは、インド に新たな危機をもたらしています。中でも都市部で働く地方からの移住労働者は、ロックダウンにより賃金を稼げず飢餓に直面した過酷な状況下にいます 。

ニュースでロックダウンが話題になった瞬間に、あらゆるNGO、食事を配達するスタートアップ、大手企業などが動き始め移住労働者に食料または金銭的な支援のための資金を調達し、リソースを動員しました。そのあらゆるキャンペーンはかなり早い段階で大きな影響を与えています。インドで有意義なキャンペーンが実現した理由の一つに、クラウドファンディングプラットホームが充実していることが考えられます。

クラウドファンディングプラットフォームの著しい成長

 現在のロックダウンの最中に共有タクシーサービスのUber社は、病院や食料のような生活に不可欠のサービスへ通勤や配達のための車を提供しています。更に同社はドライバー達の生活をサポートするために、Milaap というクラウドファンディングプラットホームで「Uber Care Driver Fund」のキャンペーンを通して資金を調達しています。下の画像は同キャンペーンのスクリーンショットです。


感情に訴えるストーリーテリング

クラウドファンディングアプリ(スマホ・ウェブ)では良いUXデザインが活用されていてユーザーは簡単かつ直感的に資金調達のキャンペーンを作成することが出来ます。キャンペーンの成功は、インパクトのあるストーリーにかかっているのでキャンペーン中は写真またはビデオを投稿し、支援者に思いが伝わるように魅力的なテンプレートで提供しています。また医療キャンペーンの場合、病院側が治療に関する情報などを提供することによって、透明性または信頼性を高めています。キャンペーンの目的によってマーケティング専門家からのキャンペーンの作成や実行に関してのコンサルティングサービスを受けることが出来ます。

Uber Care Driver Fundもストーリーを活用してユーザーである市民の心へ伝わるようにしています。

スマホの高い普及率・FacebookやWhatsAppの巨大なユーザーベース

2019年第三四期に発表されたFacebookのユーザー数は主にインドとインドネシアだといいます。インドではマンスリーアクティブユーザー数は3.28億人であり、同社が運営している大人気のチャットアプリWhatsAppは、4億人(世界人口の約3分の1 )という極めて多いユーザーが利用しています。

クラウドファンディングキャンペーンの作成者は自身のネットワークを活かせる理由から、キャンペーンの成功はソーシャルメディアやチャットアプリの普及率に依存していると考えられています。クラウドファンディングプラットフォーム運営側も保有するネットワークを使ってキャンペーンの宣伝を行っています。

そして宣伝の他、金銭の振り込みもスマホで簡単に行えるようにデジタル化しています。スマホ決済アプリのPaytmやインド政府が運営しているデジタル決済プラットフォームやクレジットカードで手続きが可能です。

Uberのキャンペーンでは FacebookまたはWhatsAppの共有ボタンがあり、またデジタルペイメントPaytmやUPIへのリンク機能もあります。

医療のためのクラウドファンディング

インド 政府の貧しい人々に向けた健康保険は、がんの手術や移植手術のような特別な治療に対して資金が全く足りていません。また、貧しくない中間層は政府の健康保険が使えないため治療費の支払いに追われています。そして全体の約2割のインド人しか民間保険を持っていないといわれています。

保険に入っていない多くのインド人にとって、高い民間医療と不足している国民医療保障制度の間の大きな隔たりを埋めてくれるクラウドファウンディングプラットフォームは、人気の選択肢です。ImpactGuru、Ketto、Milaapといったプラットフォームは重要な架け橋を提供しています。同クラウドファンディングプラットフォームの6割のキャンペーンは医療のための資金調達が目的です。

Milaapでキャンペーンを作成または実施する方法

クラウドファンディングは医療に欠かせない為、クラウドファンディングプラットフォームはApollo, Aster, Fosterという大手民間病院グループとの直接的な関係を構築し、シームレスな資金調達キャンペーンを実現しています。病院と深い関わりがあるためキャンペーンに専門医師から治療の必要性の説明、また治療の請求書が確かめることができ、キャンペーンの透明性に繋がります。

2018年に大手病院グループApollo Hospitals Groupは、ImpactGuruに200万米ドルを投資し、各地70棟の系列病院の患者がImpactGuruのプラットフォームを利用して無料でキャンペーンを作成することを可能にしました(病院側は手数料を支払っています)。


上記のようにクラウドファンディングプラットフォームは、従来の制度の隙間を埋めようとしています。この現象は医療分野で一際目立って現れている一方で 、教育、社会的な活動、クリエーターのプロジェクトなどの新しいビジネスアイディアの実現に至るまでクラウドファンディングが活用されています。同サービスは、良いプロダクトデザインによって信頼性を確立しています。そしてクラウドファンディングが日常生活に普及したことによって全般的にマインドセットの転換が起き、インド人がデジタルに精通していることを強く印象付けられます 。


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インド人とファッションにおけるサステナビリティ

March 23, 2020 By Shivani Gopalkrishna

従来インドはファッション業界の重要なソーシングハブで知られていました。現在、中間層の拡大、洋服または海外のブランドへの需要が高まりインドは魅力的なファッション市場になっています。従って、インドのファッション業界での持続可能性は世界のファッション業界に重要な影響を与えると考えられています。

インド は元々必要な物のみを購入する節約文化を持つ国である一方、現在のインド(特に都市部)においては消費主義の波にさらされている人が増加しています。ファストファッションブランドの登場に伴い新しい服装を高い頻度で購入する現象がありながら、この数年間メディアでファッション業界の環境問題や労働者の権利が問題視され、持続可能性を訴える声が広がっています。現状においてインド人消費者はファッションにまつわるサステナビリティについてどう思っているのか?どこまで意識しているのか?といった問いを投げかけた消費者調査の結果を見てみましょう。


サステナビリティが重要である一方、物を購入する時にその他の要因も重視する


2019年7月に英国のインターネットマーケッティングとデータ分析会社YouGovは持続可能なファッションに関してインド人消費者意識を調査しました。対象者の中、72%はサステナビリティの概念について聞いた ことがあり、商品を買う時に約83%は持続可能な製造過程を高く評価しています。調査によるとファッション商品購入時の優先順位は以下のようになっています。

ファッション商品購入時の優先順位(%)

Chart
出典:YouGov. More than 8 in 10 Indians are open to buying sustainable fashion items. July 2019.

持続可能な商品を購入するモチベーションは次のように理解できると考えられます。

持続可能なファッション商品の購入時に気にする要因は何か?対象者の回答(%)
より良いデザイン・スタイル・プロダクト 64
低価格58
プロダクトの持続可能な製造過程を示す明確なラベルまたは証明書56
ブランドより持続可能な物を選ぶ影響力41
商品を購入時に報酬としてもらえるポイント41
著名人、インフルエンサーによる宣伝23

出典:YouGov. More than 8 in 10 Indians are open to buying sustainable fashion items. July 2019.

男性の中で、持続可能な商品を考慮する時に低価格と良いデザインが最も重要な要因があり、比較的に女性の対象者の方が持続可能な商品に惹かれることが多いという調査結果が出ました。


誰が自分の服を作ったのかを知る


2018年にローンチされた ヴォイス・オフ・ファッション 、インドのファッション業界にまつわるメディアはファッション業界に対する情報を提供し、サステナビリティ基準・概念などを重視して情報を発進しています。

2020年2月に ヴォイス・オフ・ファッションが「India Sustainability Report 2020」を発表しました。その内容は興味深く、インド人消費者を対象にファッション商品の製造過程におけるサステナビリティ、 または商品の美的魅力やブランドの魅力ではなく、誰か、どこで、どんな環境で作った服なのかを意識しているのか?という問いを投げかけ調査を行いました。

本調査はニューデリー、ムンバイ、アフマダーバード、コルカタまたはバンガロールに住んでいる18歳〜60歳の937人を対象にし、以下のように対象者を4つのグループに分類しました。

対象グループ ①
環境を意識する・金持ちである
対象人数 = 228人
対象グループ ②
環境を意識しない・金持ちである
対象人数 = 341人
対象グループ ③
環境を意識しない・中間層・ヒンディー語を話す
対象人数 = 248人
対象グループ ④
有力ファッションデザイン学校の生徒
対象人数 = 120人

レポートによると対象者の31%はバリュー・チェーンに対して透明性を求めており、労働者の環境または誰が自分の買った服を作ったのかに対して非常に興味があると答え、43%の対象者はやや意識し、4%は興味がないと答えました。

ヒンディー語を話す中間層の対象グループの42%は、服の制作に関する情報に関心があると答えました。そして、このグループはその他グループより服の作成者の情報の上、工場の場所についても情報を求めており、高い関心を示しています。全ての対象者にわたって77%は子供の労働者が採用されているのか、または労働者の環境(適正賃金、労働条件など)について情報を求めていることがわかりました。

ただし、上記の数字は年齢によって商品購入の意思決定に与える影響が違っています。最も影響を与えているミレニアル世代(937人中の124人)である39%は服を製造する労働者の状況に関する情報は商品の購入の動機につながると考えています。


消費者の価値観と一致するためにブランドはどのような戦略を実践するべきなのか?インドの持続可能なファッションブランド市場または進化するインド人の消費者に関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]


参考資料:

YouGov. More than 8 in 10 Indians are open to buying sustainable fashion items. July 2019. Voice of Fashion. India Sustainability Report 2020.

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感情と食べ物 – 若い間食企業は鋭い消費者インサイトによって業界に革新的な影響を与えています

March 2, 2020 By Shivani Gopalkrishna


インドの伝統的なスナックやドリンクの例としてサモサ、バナナチップス、辛い味のナムキーン、ラッシー、マンゴージュース、シャーベットなどが挙げられます。こういった飲食物はインド人のアイデンティティーの大部分を構成し、感情にアピールすると考えられます。従来インドの伝統的なスナックやドリンクはパッケージングやブランディングされてなく、家庭で作るほか、小さいお店で作りたて を量り売りされたものしかありませんでした。インドのスナックは国の多様性を反映し、様々な材料や味に特徴付けられています。

マーケットリサーチ会社Mintelによると、インドのパッケージスナックの市場は2016年にインドルピー2千億産業であり、20.4%の成長率で急上昇していると言います。2011年〜2012年にインドのある小さなローカル事業が全国規模の拡大を促す取り組みの元で、アメリカの有力なベンチャーキャピタル企業 Sequoia Capitalは、小さなスナック企業 Prataap Snacks(運営社Yellow Diamond) と Paper Boat という飲み物ブランドを製造するHector Beverages に投資しました。投資を受けた両方の企業は、消費者から得たインサイトに基づいた革新的なプロダクト開発やマーケティング戦略をとって前例のないブランドを構築し、急成長を続けています。

消費者インサイト

アメリカの大手お菓子会社、モンデリーズ・インターナショナル (Mondelēz International)は、2019年後半にインドを含めた世界の12ヵ国、約6,000の大人を対象にした間食行動について調査を行いました。その「State of Snacking 2019 Indian Consumer Snacking Trends」のレポートでは、約500人のインド人が調査の対象になり以下のようなインサイトを収束しました。

  • 一般的にインド人は食事より間食を多く摂取し、間食は食事を代わりにしています。食事と違って間食は個々のニーズに応えるとして考えています(食事は同席者を考慮する行動と考えます)。
  • インド人にとって食べ物は自分のアイデンティティーの大部分にあたります。間食は自分の食文化を定義する手段であり、または、その他の食文化を探究することにつながると言います。欲求を満足させつつカロリーの摂取を抑えるために健康的な間食を求めていると言います。
  • バランスの取れた間食を摂取する事を大切にしています。
  • 伝統的なスナックは幼い頃の懐かしい思い出を呼び戻します。間食によりノスタルジーに浸ります 。
  • ストレス解消する手段であり、忙しい時の休憩になります。調査の対象者の30%はストレスまたは疲労を感じる時に間食を取ると言います。
  • 飲料は間食の代用として用いられています。

短い間に間食・飲み物市場のリーダーに上り詰めた Paper Boat と Prataap Snacksは、消費者から得たインサイトを解釈し、革新的なプロダクト開発からブランディングに至るまでの優位を占めています。両者の取り組みを見てみましょう。

インサイトの解釈による革新的なプロダクトまたはマーケティング戦略


懐かしい味わいを現代のパッケージングに反映する

90年代に導入された海外(主にアメリカのPepsiCo社)のポテトチップスは当時のブランド化されていない間食市場に大きな影響を及ぼしました。消費者は清潔で魅力的なパッケージングに惹かれ、業界標準として広く受け入れられました。

2009年に設立した Prataap Snacks は伝統的な間食(ポテトチップス以外のもの)をインポートスナックのように魅力的なパッケージで提供し、新しい市場を開拓しました。北インドのインドール市に位置する Prataap Snacks は、従来、地方や小さい町(インドール市のような町)では大手企業が無視されていた為、北東インドに注目し強力な流通ネットワークを構築しました。Prataap Snacks社の商品は5インドルピーで安価な上、その他のブランドより食べ物の量が多く、地方での消費者の価値意識に応えています。


お祭りまたは特別な習慣(断食)のスペシャルな飲み物を導入、または、地方色を称える

イスラム教のエイド祭りをきっかけに Paper Boat からアップルジュースとライチジュースのシャーベットとバラのドリンクが販売されました。同様にヒンドゥー教のお祭りには断食する期間の為の特別なドリンクを提供しています。

お祭りが重視されているインド人消費者にとってブランドは自分のお祝いの時、または断食する時に思い出の一部として、感情に訴えています。


あらゆるマーケットセグメントを活用

地域による味わいまたは食材の多様性によって地方限定の味を販売します。こちらの Prataap Snacks の商品は北インドの地方で特別に販売している物です。

そして Paper Boat も地域によって商品を区分しています。更に販売ルートもセグメント化しています。

例えば、飛行機またはホテルに販売する限定な商品。このようなマーケットを対象に、より小さいセグメントに分けて、新鮮なマーケティング戦略やプロダクト開発につながっています。


ブランドのストーリーを重視する

感情へ上手く訴えるパワーは良いブランドストーリーにあります。「Drinks and Memories」のタグラインを持つ Paper Boat は懐かしい時代を呼び起こすストーリーを広告にも活用しています。

右のイラストは30年前まであったインド鉄道システムの特徴を描いています。列車の外に貼り付けて指定席の名簿にこの親子は自分の名前があるかどうかを確認しています。現在の40代の大人は、幼い頃の長い休みの列車旅の記憶を呼び起こします。

本物のエモーションはブランドの信頼性につながり、パワフルなツールであると考えられています。広告や宣伝に大きな金額を使わなくても、感情に訴えるストーリーがあれば十分だと思われています。


従来ブランドを持たなかった間食市場からブランドが競争する市場への移行では、販売品よりブランドの属性が重要になります。イノベーションを受け入れやすいシステムが事業の枠組みの中にあるため 、Paper Boat と Prataap Snacks は飲食業界に革新的な影響を及ぼしていると考えられています。革新的なプロダクトや戦略を作るために両方のブランドは消費者から得るインサイトを参考にしました。Sequoia Capitalによる投資は、これらのブランドの優位を証明しています。最終的に人の感情に訴える事業は商品を超え、その可能性は無限であると考えられます。


間食業界または消費者行動、そしてその他インドに関することを更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

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「キラナ」店舗 – インド小売市場の珍しい現象

December 3, 2019 By Shivani Gopalkrishna

インドを訪ねたことがある方が気付くように 、お米やレンズ豆、スパイスといった食材から石鹸、モップ等の日用品に至るまでを販売する伝統的な店舗は、高所得層の地区であれ、スラム地区であれ、インド中どこでも普及しています。そしてこの伝統的で小さな未組織の「キラナ」店舗は、大型スーパーやチェーン店よりもはるかに多く存在し、全国では約1500万のキラナ店舗があると推測されています。

最近キラナ店舗は話題を呼んでいます。世界の有名な事業へ投資をしているシリコンバレーに位置するベンチャーキャピタル企業 GGV Capitalおよびその他の有力投資家は、キラナ店舗の効率向上を支えるスタートアップに投資しています。その投資は彼らの地域にEコマース事業、そして融資を行うシステムを強化するためだと言われています。

この数年間、近代的な大型スーパーやチェーン店やECが進出してもキラナ店舗は活発な商売を続けています。Indian School of Businessに属する小売専門家Siddharth Singh教授によると、急速な都市化が行われていても伝統的なキラナ店舗はなくならないと言われています。Singh教授が行ったリサーチでは、キラナ店舗と大型スーパーにおいてある大手日用品の約10万件販売取引を分析しました。その結果、地方都市または田舎では、キラナ店舗と大型スーパーにおける月ごとの販売の差は減少しつつあり、そして大都市を含む全ての地域で収益性が向上し続けています。このリサーチでは、通常に反して既にキラナ店舗の収益性は、大型スーパーの収益性より高いと報告されています。

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キラナ店舗の特徴


  • 顧客と友好関係を築く

キラナ店舗は、ローカルコミュニティと強い絆で結ばれています。個人顧客との関係を構築しているため、個人のニーズに応えて特別な注文、または特別な量を発注します。更に掛け買いのオプションもあり、個人顧客にパーソナライズされたサービスを提供しています。

そして顧客は、このようなサービスの利便性そして比類なき価値によりキラナ店舗と親善を深めています。

  • 柔軟性がある

上記の通りキラナ店舗は、顧客が求める品物が大量であれ小量であれ個人にカスタマイズされたサービスを提供しています。シャンプーのような日用品、お菓子などを少ない量でも販売し、低所得者でも購入できるようにしています。

また値引き、あるいはいくつか商品をセットとして販売し、あらゆる販売促進も行われています。

  • 進取の気性がある

キラナ店舗は、2017年に導入された物品・サービス税 (GST) に従うために、店舗販売時点情報管理(POS) のデジタル化に積極的です。デジタルワレットも意欲的に生かしていて、キャッシュレスの取引も可能にしています。

大型スーパー、EC事業による競争を承知しつつ、顧客のニーズを満足させるために様々な取り組みを強化しています。その一方で、Reliance Retail のような大手小売企業は、巨大なキラナ店舗のネットワークにおける大きなビジネスチャンスを見出そうとしています。


キラナ店舗のアップグレード

大手企業 Reliance は、中国で小売業の変革を導いたAlibaba社のように2023年までに50万店のキラナ店舗のデジタル化を目標としています。Reliance Jioが通信業に導いたデータ革命での成功を、小売業でも再現しようとしています。「ニューコマース」と呼ばれる取り組みであり、Reliance Retailが運営するEC事業、近所ストア、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、卸売事業とキラナ店舗を繋げるハイブリッド・オンライン・オフラインモデルを実現する予定です。それはAlibabaが導入したオンラインとオフラインを繋ぐマーケットプレスに似ています。

Reliance社の目的は、全国の小売ネットワークを強化するためにキラナ店舗をサプライ・チェーンに統合してラスト・マイル配達の役割を果たすパートナーとしてプラットフォームに加えることです。また一方で、Reliance Jioはキラナ店舗の個人運営者向けデジタルPOSを開発し、低価格でシステムを販売します。

そしてオフラインであるキラナ店舗の統合によって、Relianceの新しい小売プラットフォームでは、顧客のオフラインの購入に関するデータも収集することになります。その上、プラットフォームは同社のEC事業とキラナ店舗を結ぶため、顧客はオンラインで商品を検索し、決済し、実際の店舗へ商品を取りに行くことを可能にしています。この制度によってローカルな需要に応えられる上、Relianceによるコストの削減が実現します。更にキラナ店舗のおかげでReliance Retailが導入されていなかった地域にもアクセスが可能になります。


田舎、大都市、地方都市での多様な市況の背景に、進み続ける都市化 、所得の増加、10億人市場のインターネット利用率の増加があります 。地方に暮す消費者が、インターネットから情報を得て生活の質を向上させたいと野心に駆られることは、小売業の需要に大きな影響を与えています。このような理由から、インドの小売業は変動的な状況であると考えられています。この波にさらされて伝統的なキラナ店舗も向上心に燃えて意欲的にテックを採用しようとしています。そして彼らはこれからもパーソナライズされたサービスを提供し、顧客と信頼関係を築き続けます。キラナ店舗は、インドのローカルコミュニティを支えるバックボーンと呼べるでしょう。


参考資料:

Singh, Siddharth. “Kirana Stores Are Here to Stay: FMCG Strategy for Indian Retail.” ISB Insight, October 2018.


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地方おける消費者主義の波

October 31, 2019 By Shivani Gopalkrishna

現在インドではお祭りシーズンの最中です。10月上旬に10日間のダシャラー祭が終了し、下旬にはヒンドゥー教の最大のお祭り、ディワーリーのお祝いがあり市場は一年で一番賑わっています 。欧米のクリスマスシーズンのように、インドでも消費のハイシーズンと呼ばれています。小売見込みによるとインド人消費者が、 電気製品や服装、コンシューマー製品 の60%を購入する時期だと言われています(お祭りの季節の3ヶ月間 、9月末〜12月末)。この5年間にEコマース大手のAmazonとFlipkartは、祝祭シーズンにおける消費景気を生かして次の1億人の顧客を引き付けるために都市部ではなく地方での競争が激しくなっています。

Amazon、Flipkart、その他大手EC企業達は地方を優先する


消費景気

経済成長につれて地方の豊かさが増し、スマホの普及と共に地方にいる消費者の好みや要望は進化しています。インターネットやソーシャルメディアで大都市の消費者と同じ情報を入手することが可能になり、都市部に住む彼らと同じもの、あるいは同じライフスタイルを熱望し始めています。従って地方でも消費者の支出傾向は進化しています。

この現状を活かすためにAmazonとFlipkartは積極的にディスカウントを提供しています。新規のオンライン消費者を引き付けるためにスマホから衣服や食材、そして石鹸などの日用品に至るまで大幅なプライスダウンを行い、満足感を与える工夫をしています。

バンガロールにある小売コンサルティング企業 RedSeer によると2023年までに地方がE-小売の70%の総流通総額 (Gross Merchandise Volume)に達成する見込みです。現時点で地方が生み出すE-小売の総流通総額は全体の40%を占めています。

デリー、ムンバイ、コルカタ、ハイデラバード、チェンナイ、バンガロールのような大都市以外の小さな町は多く、次の1億人の顧客の重要なベースになる。

若い世代は向上心を持ち、新しいサービスへの好奇心が強い

エンターテインメントプラットフォームで消費するコンテンツは、若い世代が持つ向上心に極めて大きな影響を与えています。ビデオ広告だけではなく、人気なユーチューバー、その他インフルエンサー(タレント、影響力がある人)によって消費を促されるブランド、商品(車、スマホなど)や海外旅行への憧れが作り出されて、目指すライフスタイルに繋がっています。

地方ではスマホの登場によって初めてインターネットを利用する人口が非常に多く 、その環境の中で特に若い世代は新しいサービス・アプリに強い興味があります。その若い世代をECサイトへ引き付けるために、インドの公用語であるヒンディー語でのサイト・アプリの提供が主流です。

地方の若者はオンライン・ショピングの成長を促進し、これから地方は大都市より急成長する市場であると考えられています。


商品の選択肢が増える

地方ではショッピングモールで購入できるブランド・商品が限られているためオンライン・ショッピングの人気が高まっています。そしてEC事業として消費者だけではなく地方にいるセラー(売り手)を増やすことにも大きなメリットがあります。

Amazonはお祭りシーズンの「Great Indian Festival」をきっかけにして、商品のロードショーを開催しました。600商品を3台のトラックに乗せて北インドから南インド、西と東も含めて、代表な町の13ヶ所に走って消費者に商品の体験を提供しました。さらに各地域の伝統的工芸を宣伝し、職人たちをセラーとしてプラットフォームの会員に引き込みました。この試みによって消費者とセラーの交流を促し、意見またはインサイトをお互いに共有するに繋がりました。

重要なのは地方の消費者の意識を高めるアウトリーチシステムです。広告でAmazonのブランド認識があっても、オンライン購入したことない消費者向け、オフラインで商品を持っていくことによってAmazonは地方へ配達が可能だと消費者を安心させ信頼を得ることに成功しました。

消費者へオンラインプラットフォーム・アプリで購入するための教育も必要になります。AmazonとFlipkartは地方で「エクスペリエンス・センター」を講じ、消費者の購入体験をサポートし、デジタル決済やその他の悩みを和らげています。

Amazonは地方への配達を実現するために今年のお祭りシーズンに50万人のセラーとパートナーシップを結び、13州に渡る50件のフルフィルメント・センターを構築しています。

そしてFlipkartもラストマイル配達を強化するために配達者を大規模雇用し、700町に渡るの「キラナストア」と呼ばれる小規模個人商店27,000店舗をパートナーとしてプラットフォームに引き込んでいます。


Amazon, FlipkartのようなEC事業の他、食品配達サービス、車のシェア サービス、ソーシャルメディアサービスなども地方のコンシューマーを対象にしています。都会よりインフラが整備されていない地方では配達事業を行うには挑戦が多く、事業の成功のためにやはり時間、根気、一貫性、そして投資が必要になります。

インドの地方まで事業を行わなくても、地方出身の消費者を理解することは非常に重要であると考えられます。なぜなら彼らは教育または就職の理由で大都市へ引っ越し、将来の消費者になるからです。


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小売業における大規模なパーソナライゼーション

September 3, 2019 By Shivani Gopalkrishna

Nike、Walmart、McDonald’sの大手小売企業が最近AIの最先端企業を買収していると、ビジネスリサーチまたは企業データベースを提供するCB Insightsが報告しました。 買収により世界規模で事業を経営しているこの大手3社は、「ハイパーローカル」(現地の)需要にAI技術による高い処理能力で商品在庫管理を行なう事を近い将来に実現します。3社は今までの安定した品質の商品とサービスに加え、パーソナライズされたユーザーエクスペリエンスの提供を可能にすると考えられています。

個人へのセグメントのアプローチ

コンシューマー企業としてAmazon、Netflixが先駆けとなってAI技術を採用していました。一人ひとりのユーザーの行動プロフィールを作成し、個人ユーザー向けにレコメンデーション技術を組み込んだことで 、オンラインのユーザーエクスペリエンスをよりパーソナライズ化し、エンゲージメントと利益を伸ばしています。

パーソナライズ化とカスタマージャーニーが重要である小売業では、消費者の一般的な行動データの把握だけでは不十分だと考えられています。従って、 消費者セグメンテーションによって消費者にスーパーパーソナライズされた体験を提供するため、小売ブランドはAIやコンピュータービションといった最先端技術を活用して個人レベルのセグメンテーションまで移行しています。

個人の消費者の購入に至る要因、気候、時間帯、過去の検索結果、そして購入した商品などといったあらゆるデータポイントを収集し、消費者の要求と関連性のある商品のレコメンデーションまたはカスタマイズされたサービスを提供することが可能です。小売、ファーストフード、エンターテイメントサービス等あらゆる消費者に対応する企業がAIの活用によって大規模なサービスのパーソナライズを実現しています。

インド発小売自動化AIの企業

インド南部チェンナイを拠点とするVue.ai は、神経科学者とプロダクトデザイナーの夫婦が立ち上げたAI技術を採用する小売オートメーションプラットフォームです。アメリカの大手デパートMacy’sをはじめ、 南米ECサイトのMercadoLibreまたはインドのEC企業TataCliq(Tataグループ企業)と言った大手企業向け画像認識またはデータサイエンスを利用してエンド・ツー・エンド小売自動化ソリューションを提供しています。同社は現在までに合計で2750万米ドルの資金をSequoia Capital India、Falcon Edge Capital、そして日本のGlobal Brainから調達しています。

Vue.aiはマーチャンダイジングの自動化に向けカタログ管理と商品タギングのプロダクトを開発しています。また、消費者にパーソナライズされたショッピングサービスを提供するための画像認識機能を備えた商品検索エンジン、個人のユーザーに向けたスタイルのレコメンデーションとメールコンテンツも提供しています。

Vue.aiによるレコメンデーションエンジン
出典:Individualization in Retail, Vue.ai case study

同社が発行した小売業におけるパーソナライズ化という事例研究によると、レコメンデーションエンジンはECサイト上、ユーザーのショッピング体験の開始からデータを収集し、色、模様と言った視覚的なインプット、またブランドやカテゴリーのような非視覚的なインプットの上、気候、ファッションの流行などの外部属性まで織り込まれているといわれています。つまり、AIを活用してユーザーの好みや環境などに基づいた文脈上適切なリアルタイムの相互作用機能を提供しています。

小売企業はパーソナライズ化したサービスをユーザーに提供する事により、特別なショッピング体験のほか、クロスセルまたはアップセルを実現し、ブランドへのエンゲージメントを高め、競争優位性に繋がると述べています。Vue.aiは、時間をかけて集められる大量のユーザーデータ によってより個人へ向けたサービス提供が実現を可能し、それは結果として顧客維持に繋がります。

そして小売のあらゆる作業過程の自動化によって経費の削減や資源の節約に繋がり、小売企業はブランドにまつわる体験に集中することを可能にすると主張しています。


今、小売企業はコンシューマーエクスペリエンスの重要性に注目しています。 個人の消費者の行動、意図、好み、情報を消費する方法などを重視することによって、より有意義で特別な体験を提供することが可能になり、小売ブランドとのエンゲージメント、顧客維持率、そして収益性を高めることに繋がります。


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ノンアルコール時代の波に乗る

August 10, 2019 By Shivani Gopalkrishna

世界の初ノンアルコール蒸留酒、イギリスの Seedlip 飲料が今週インドで販売を開始します。特定の酒販店チェーン 、スーパーまたはAmazonに並ぶ予定のこの新商品Seedlipは 、あらゆるハーブがブレンドされた植物より複雑な味を持ち、甘くない大人向けの飲料なので前例のない飲み物であると考えられています。値段は一般的なノンアルコール飲料の価格と比較すると高めに設定されています(一瓶2,800Rs=4,500Yen)。「価格志向型のインド市場はこの画期的なノンアルコール飲料に対して好況マーケットなのか」インドにおけるノンアルコール飲料の展望を描きながら、進化していく消費者の好みを分析しました。

「飲まない時は何を飲むのか?」、Seedlipのタグライン

熱望する、目の利く消費者

世界の有名な飲料を輸入する販売会社 Brindco はSeedlipブランドをインドに導入します。同会社のブランド・マーケッティング担当者Karan Dhingra氏は 1200億米ドル、7.5%の成長率であるノンアルコール飲料市場の潜在力を高く評価しています。


マインドフルドリンキングの時代へ

世界中で大流行であるウェルネス、または健康志向のトレンドによって消費者は無糖の人工甘味料を含まない、無添加アレルゲンフリーのカロリーゼロ飲食物を求めています。いわゆる 健康を強く意識した「マインドフルドリンキング」はインドの都心に住む18才〜30才代の若者、フィットネス・ヨガ愛好家をはじめ糖尿病患者や妊婦、または平日の夜に酒を控える消費者といった層に如実に反映しています。

インド のバー・レストランでは禁酒者向けのドリンクメニューは人工的な強い甘味のノンアルコールカクテルか炭酸飲料の選択肢しかありません。高品質のお酒と同じようなコクのある繊細な味わいのノンアルコール飲料は、Seedlipが初だといわれています。Seedlipのような洗練されたノンアルコール飲料は社会包摂を促し、禁酒者もお酒の場を楽しめることを可能にします。経済的に豊かなノンアルコール飲料の消費者層は、価値観またはお金を払う価値があるブランドには金銭を惜しまない傾向があります。


宗教のための禁酒文化

広く知られているようにインドはもともとアルコールを飲まない文化です。宗教上の理由で(特にヒンドゥー教およびイスラム教)禁酒する人口が多いのです。また普段から酒を楽しんでいるグループでも、結婚式のような宗教的なイベントではアルコールを口にしません。従って盛大な結婚式(特に上流階級層の式)を行う国であるインド は、ノンアルコール飲料の市場に大きな可能性があります。


ノンアルコールから生じる金銭的な利益

インドでは禁酒する州があり、また全国の高速道路500メートル圏内でのアルコール販売は禁止されています。その上、アルコール飲料に課される税金は高額です。その一方で、ノンアルコール飲料は全国のどこでも販売ができ、高い課税を免れることも可能です。ノンアルコールビールの場合、一般的なビールと比較すると生産性が高く、低い税金は金銭的な利益に繋がります。加えて消費者はノンアルコール飲料のために、より高い値段の商品を喜んで購入する傾向が目につきます。


世界中でノンアルコール飲料市場の成長は、より一層加速 しています。もとよりアルコールを控える文化を持つインドにとって、ノンアルコール飲料は若い世代の健康志向へシフトが増加する魅力的なマーケットであると考えられています 。このことから高品質ブランドの導入に関して、インドは途上国または保守的な文化であるという先入観はビジネスチャンスを逃します 。プレミアムブランドを熱望している市場があり、消費者の間で共感を呼ぶブランド、または価値を生むブランドに消費者は高い料金を支払います。


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Ather Energyが導くインドの有望な電動バイク産業

July 25, 2019 By Shivani Gopalkrishna

世界3位の自動車市場であるインド。しかしながら電気自動車(EV)の導入は圧倒的に遅れています。今年に入り、ようやくEV業界に進展が見え始めました。電気自動車より先にEVの二輪車、三輪車、交通機関のバス、共用タクシー、農業用自動車の導入が2年内に実現されると予測され、好ましいマーケット状況によってますます成長していくと見込まれています。更に排出ガスを15%削減すると期待されています。

電動スクーターの登場  

電動スクーター Ather 450

2013年に立ち上げられた Ather Energy(以下Ather)は、インド初のインテリジェント・エレクトリック・スクーターを創り出しました。2018年の9月に電動スクーターの二つのモデルが南インドのバンガロールに登場し、今月にはチェンナイに導入される予定です。インドでは現時点で1000台の電動スクーターが走り、公共の充電ネットワークであるAther Grid も整い始めています 。更にAtherは大手EC事業Flipkartのファウンダー、大手二輪車企業Hero Group、そしてVCのTiger Globalから総額9100万米ドルの資金を調達し、250人のエンジニアを採用するなど積極的に事業拡大を行なっています。

上のモデル450の電動スクーターは時速80kmで走り、満充電での走行可能距離は75 kmです。時速ゼロから40 kmまで3.9秒で加速し、リバース走行の機能により簡単にパーキングが可能です。同品に搭載されているタッチスクリーンダッシュボードはモバイルアプリとの連携によって二輪車の安全をモニター、機能の操作やソフトのアップグレードが可能です。またAtherはユーザーの満足度を非常に重視しているので、フィードバックによりユーザーから要望の高い機能を提供するようにしています。暗い環境ではヘッドランプが20秒後に消灯する機能が例に挙げられます。そして、消費者を惹き付けるために革新的な購入プランや、リース契約のオプションも提供しています。

ショッピングモールや公共駐車場などに設置されている公共の充電ネットワーク(現在バンガロールに31箇所あるAther GridはAtherのスクーターだけに限らず、ファストチャージ(高速充電)で1時間に電池80%の充電ができます。充電の決済はスマホアプリで行えます。

バンガロールにあるEV充電箇所。政府または企業によって充電インフラが進んでいます。

20代後半のAther創立者の二人は、インド工科大学(IIT)チェンナイ校の機械工学部の卒業生です。 試作品は 2年前に仕上がっていましたが、ゼロから製品を設計構築することに拘ったので予定より 多くの時間がかかりました。その結果としてインドの需要を完璧に満たした製品を提供することに成功しました。

郵送手段4分の3は二輪車であるインドでAtherは大胆かつ斬新なEV市場を開拓しています。下記に記述する通り、現在の市況は電動二輪車の到来を告げています。

EV二輪車を促進する市場環境

  • インドの巨大な二輪車市場

インドの乗り物・自動車業界の統計によると2017年に2500万台が販売され、その内2000万台は二輪車でした。世界で最も大きい二輪車市場はインドであり、インドの二輪車企業は国内市場に留まらず、東南アジア、アフリカ、そして南米にまで拡大しています。インドには活発的な二輪車市場に魅力的な製品を提供するための、部品の生産・組み立て・開発能力が備わっていると考えられます。更にスケールメリット(規模の経済性)を活かして供給の基盤を作り、製品開発の強化が実現すれば、インドが世界の電動二輪車業界をリードする可能性が大いにあります。

  • 研究開発能力があるエコシステム

電気自動車バッテリーの研究で有名 なインド工科大学(IIT)チェンナイ校にある Centre for Battery Engineering and Electric Vehicles が、バッテリー開発をはじめバッテリーの再利用、充電インフラ開発といった研究プロジェクトを行なっています。同センターはインドの大手 OEM の Tata Motors, Mahindra & Mahindra, Ashok Leyland, Kineticなどと共同研究を実施しています。IITチェンナイ校は Ather Energy の他、リチウムイオン電池開発のスタートアップ Grinntech のような先端技術スタートアップを世に生み出す役割を果たしています。

  • ITの活用

GPS機能のスマホ、モビリティアプリ、自動車データ収集・分析といったITの活用によってEVはより効率的に運転します。EVに関わる変動費の削減につながる上、固定コストを補うことができます。そしてEVからデータ収集、行動履歴やフィードバックは技術やユーザー満足度の向上に繋がります。ユーザーはスマホからの自動車の操作や電池のモニターなど便利な機能を利用できます。優れたIT業界のノウハウを活かすことが大きなメリットをもたらしています。

  • 政府の対策

中国の 大成功したEV普及政策を参考にして、インド政府もEV業を促進するための取り組みを強化しています。FAME (Faster Adoption and Manufacturing of Hybrid and Electric Vehicles)という名の取り組みでは、政府は2022年までに14億米ドルをEV製造・利用を促す政策、または充電インフラに投資すると発表しています。交通機関に電動バスを活用することを重視しています。また、7月に発表した年度予算でインド政府は、EV購入を促すために購入者にいくつかの免税を与え、月払いを奨励しています。さらに銀行もEV購入に向けたサポートプランを提供しています。

今後小型車(二輪車・三輪車)に活用する小型電気バッテリーの革新が拍車を掛け、インド企業は電動二輪車・三輪車の製造でリーダーシップを発揮すると考えられています。

大手自動車メーカー、バッテリーメーカー、スタートアップ、エネルギー企業はインドのEV事業に取り組んでいますがハードルはいくつかあります。インドでは比較的安いディーゼルエンジン自動車と天然ガス自動車が激しい競争しています。EV自動車の電費がディーゼル自動車の燃費と並ぶのは2020代半ばになると見込まれています。


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インドのスマホデータ通信量が世界一位に

July 15, 2019 By Shivani Gopalkrishna

データ通信量の成長トレンドが継続

インドで次世代の携帯電話サービスが予想より速く導入されているといわれています。内線電話がまだ全国に普及していなかったにも関わらず、携帯電話の普及率は大幅に増え続けています。通信機器・ネットワーク企業のエリクソン社(以下Ericsson)が6月に公表した2019年版の「モビリティー・リポート」によると、インド領域(ネパール・ブータンも含め)の 携帯電話購入者の総数は、2024年には11億人に達すると予測されています。

高技術への移行が進み続ける

出典:Ericsson Mobility Report 2019

上記の表はエリクソン社のレポートのデータです。

インドにおける携帯電話利用者の増加現象は下記のように理解できます。

  • GSM携帯電話(2G)は2018年に市場の47%を占めている
  • スマホ・LTE技術は年々普及し2018年末に市場の38%までに拡大、2024年末には市場82%に達すると期待されている
  • モバイル・ブロードバンドは加入件数の50%を占めている
  • 5Gサービス は2022年の導入を期待されており、2024年末までに市場の6%を占めると予測されている

なお、2019年第一四半期にインドの携帯電話加入者数が前年比で1400万人減少しました。大手通信企業の数会社が、客単価を上げる目的で低額プランの加入者へ(プラン利用に関わらず)ミニマム料金を請求したことが原因と考えられています。

動画配信サービスの影響

2019年の第一四半期に世界におけるデータ通信量は82%に増加しました。原因としてはインドにおけるスマホ新規加入者の増加、または中国におけるスマホ一台当たりの月間データ通信量の増加が考えられます。

出典:Ericsson Mobility Report 2019

レポートによるとインドは世界最大のスマホ の平均月間データ通信量を占め、2018年のスマホ の平均データ通信量は9.8GB、2024年末には11%の18GBに増加すると述べられています。2位は北東アジアの地域で2018年末の平均データ使用量は7.1GB。インドにおけるデータ消費はReliance Jioが提供される低額スマホ料金プランまたは若者によるオンライン・ビデオ利用の傾向を反映していると考えられます。

5Gサービスへ

インドの通信大臣は年内に5Gスペクトラムのオークションを開催すると約束しています。オークションではインドの通信ネットワーク企業Reliance Jio、 Airtel、Vodafone Ideaの他Samsung、NokiaまたはEricssonの参加が決定されている一方で、フェアウェイの参加はまだ未定です。

Ericssonレポートに取り上げられる5Gサービスへの希望についての消費者調査結果に よると、インドのスマホユーザーの多くは、5Gサービスを利用するためにプレミアム料金または通常より66%値上りした料金 を支払う意思があり、 さらに国が5Gサービス開始後の半年以内に契約している通信サービス会社が5Gサービスを提供しなければ、 5Gサービスを利用可能な会社へ変更すると述べています(インドでは通信サービスのあらゆる契約があり、プリペイド契約の場合は通信業社を簡単に変更可能)。

Reliance Jioは5Gサービスの導入と共に、同ネットワークが利用可能なスマホを販売するといわれています。低額4Gサービスやスマホの登場によって「モバイルの革命」をもたらしたReliance Jioは、ブロードバンドや5Gサービスにおける更なる革新を期待されています。


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インドの「クリーンエネルギー」移行の現状と勢いとは

July 9, 2019 By Shivani Gopalkrishna

インドにおける大気汚染や産業汚染、野焼きの課題は、いまや世界中に知られるところとなりました。首都のニューデリーをはじめインドの大都市では、大気汚染は深刻な課題であり、市民の日常生活にも大きな影響を及ぼしています。

インドでは経済成長と共に都市化が進行し、電力の供給と需要も拡大の一途を辿っています。一方で、エネルギー効率の改善および再可能エネルギーの進歩によって、電力の減少も生じているため、エネルギー消費のパターンは複雑になっています。

こちらの記事では最新エネルギー消費のデータを取り上げながら、エネルギー政策の影響を考え、今後、エネルギー源として働く「再生可能エネルギー・エネルギー効率」に関する大規模なビジネスチャンスを浮き彫りにします。

インドのエネルギー消費概況

国際エネルギー機関(IEA)の年次レポートによると、インドと共に米国と中国は世界エネルギー需要増大の70%を占めています。下記の表をご参照ください。

出典:International Energy Agency. Global Energy and CO2 Status Report. 2019年3月

同レポートでは、地域ごとの燃料消費または炭素放射量の増加率も取り上げられ、インドの電力消費の伸び率と主な原因を下記のようにまとめています。

出典:International Energy Agency. Global Energy and CO2 Status Report. 2019年3月.
   [*]:Climatescope, 2019

再生可能エネルギーが「有望」であるワケ

2015年のパリ協定(COP21)に締結したインド政府は、2022年までに容量175ギガワット(GW)の再生可能エネルギーを開発すると発表しました。目標再生可能エネルギーの容量の内訳は下のテーブルのようです。

7年間に再生可能エネルギー容量を4倍に増大することは野心的な目標であるとの指摘も有りますが、世界の最も競争力の強い入札であるインドの再生可能エネルギー市場は絶対的には驚くほど良い成果を挙げています。 

2017年にインドの太陽エネルギー市場は2倍に拡大し、毎年8GWの光発電能力容量を構築しています[2]。これは記録的な数値です。太陽エネルギーは、再生可能エネルギー移行における目標容量の大部分を占めています。現在では、新しい石炭プラントよりも、大規模太陽発電所への投資が増えています。しかし、消費者による屋上太陽光発電システムの設定は、約2.5GW。近い将来に40GWの目標に届かないです。下記の表は再生可能エネルギーの目標と実際の設備容量を比較しています。

出典:2018年末報告書 (Ministry of New and Renewable Energy, Press Information Bureau, Government of India)

途上国におけるエネルギー移行については、エネルギー界の研究機関ブルームバーグニューエエナジーファイナンス(BNEF)より発表された「Climatescope」レポートも参考になります。同レポートによると2017年には、世界中ほとんどのゼロカーボン電力容量は途上国で構築されており、新しい石炭プラントは低下傾向だとの指摘があります。インドでも、新しい石炭容量の構築は2012年~2016年の間は毎年17GW容量追加されていましたが、2017年には4GW容量追加に低下しています。

2022年の再生可能エネルギー利用目標を達成するため、インド政府の新エネルギー・再生可能エネルギー省は太陽光プロジェクト向け80GWまたは風力プロジェクト向け28GW、2つのプロジェクトにおいて入札を行うと発表しました。インド市場のプレイヤーは価格に非常に敏感です。インドは、再生可能エネルギープロジェクトの競争が非常に激しい国として知られています。オークションの各ラウンドに参加する事業者数は、大幅に募集枠を超えていて、わずか数ルピーの差で勝者と敗者が決定されてしまうのです。この激しい競争環境のもとで、再生可能エネルギー開発は急成長し、また低価格を実現できるため、2027年までの再生可能エネルギー容量の目標を215GWに設定し、石炭の容量を11GWに削減することができると考えられているのです。

出典:Climatescopeレポート、Press Information Bureau

目標達成に向けてインド政府は既存のクリーンエネルギー政策の向上、または、再生エネルギーオークションのプロセスを強化しようと尽力しています。上記の表が示しているように本年度と2020年度には、太陽エネルギーと風力エネルギーのオークションを増強する予定です。

エネルギー節約からエネルギー効率へ

エネルギー効率の促進に向けて、インド政府の最も成功した政策は「UJALA」です。2015年にローンチした取り組みで、LED電球を普及させるため、電力省が管理する公営企業の合弁企業、エネルギー効率サービス企業、Energy Efficiency Services Limited (EESL) 、は膨大なLED電球の購買活動によって、価格を大幅に引き下げました。「UJALA」取り組み以前には、LED電球は310ルピーだったものの、現在政府の助成金も含めて85ルピーになっています。

「UJALA」取り組みはLED電球利用の普及に、大きく影響しました。大規模購買契約が提供されたことで、エネルギー事業者は規模の経済の恩恵に目覚め、価格の引き下げを促進、エネルギー効率の改善を実現します。

全国分散型のLED電球のダッシュボード(http://ujala.gov.in/) . 2019年7月9日現在、3億5千万件LED電球の分散によって一年間に45億kWhのエネルギー節約に繋がる。

2018年に世界銀行は、エネルギー効率サービス企業より「エネルギー効率スケール・アップ・プログラム」に3億米ドルを投資しました。このプログラムは、「融資、国民意識、技術的なまたは容量的なハードル」の課題に取り組み、エネルギー効率改善のための仕組みづくりのために設定された、2030年までの炭素放射削減目標実現に向けた政策の一つです。

火力発電所、肥料産業、セメント業のようなエネルギー集約型の産業におけるエネルギー効率を促進するために、市場全体としてのエネルギー効率交換システム「PAT」も注目を浴びています。PATとは、「実行 (Perform)・実現 (Achieve)・交換 (Trade)」の略。エネルギー消費を削減するために節約されたエネルギーを、市場ベースのメカニズムを活用して、過剰エネルギーの交換ができる取り組みです。一石油換算トンで計算し、節約できたエネルギー量を数値化して認定エネルギー監査員より「エネルギー節約証明書」が交付されます。節約量の目標を超えると組織は証明書を入手します。節約目標を達成できなかった組織に証明書を販売する、または将来の目標の達成に向け活用することもできます。

PAT取り組みの第一フェーズは終了し、エネルギー効率を促進する取り組みとして良いスタートであると評価されている一方、第二フェーズでは取り組みの透明性を向上させることや、エネルギー節約を実現するため規則を厳格化し適用していくことも求められています。

エネルギー産業におけるビジネス機会

人口や国の経済規模によって世界的に炭素放射を減少させていくという議論において、インドのエネルギー戦略は重要です。経済発展の実現し、また増加し続ける人口に対応していくためには、エネルギー消費削減の限界やハードルがあります。数的な目標を達成しているかどうかより、業界におけるトレンドを理解することが重要です。以下のように市場のトレンドをまとめています。

市場全体のトレンド
  • 民間企業の参入によってエネルギー市場は活性化する
  • 世界銀行の見通しによるとインドのエネルギー効率市場は毎年120億米ドルで評価されている
  • 発電容量は加速し、電力供給ポテンシャルは経済的な需要を上回る
  • 低価格によるプレッシャーは技術、調達活動、設立に影響を及ぼす
  • 融資メカニズムの強化が必要である
  • 新しい産業を生み出す
  • 電力量計(メーター)・消費データにおけるイノベーションは電力需要に影響する
  • 新しいビジネスモデルは既存のエネルギー市場を一変させる

以下の通り期待できる技術・産業・取り組みであり、今後同産業の進展を追跡して行きたいと思います。

注目を浴びている産業・取り組み
  • 電気自動車(二輪車)+ 関連の技術、インフラ
  • スマートエネルギー供給網の技術
  • 海外出資を促進する取り組み
  • ビル建築業界におけるクリーンエネルギーの参入
  • 非常にエネルギー効率の良いエアコン+その他電気製品(天井ファン、冷蔵庫など)
  • 非常にエネルギー効率の良い農業用ポンプ、トラクター、産業用モーター

インドは経済の発展によるプレッシャーが上昇する一方、再生エネルギーおよびエネルギー効率における進歩は称賛に値すると、あらゆる専門家が唱えています。この先数年にわたってインドのエネルギー産業はますます高度化する見込みです。


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参考資料:

  1. International Energy Agency. Global Energy and CO2 Status Report. March 2019.
  2. Bloomberg NEF. Climatescope. November 2018.
  3. Tongia, Rahul. Understanding India, its energy needs and ambitions, and the global implications for carbon emissions. September 18, 2018.
  4. Word Bank. Press Release. August 2018.
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インドのインターネットユーザーが爆発的に急増中

July 4, 2019 By Shivani Gopalkrishna

著名なベンチャーキャピタリストであるメアリー·ミーカー氏が、6月にシリコンバレーで待望の「Internet Trends 2019」レポートを発表。その興味深い報告書は、インターネットのアクティブユーザーが2018年の時点で世界人口の51%である38億人に達し、前年比で増加していると述べています(前年は世界総人口の49%である36億人)。

世界のインターネット利用者数のうち、中国が世界一の21%を占め、次にインド12%、そしてアメリカ8%と並びます。下記の表を見ると中国と特にインドは、まだインターネット普及率が低く、アメリカと比べ今後の成長の可能性を期待されています。

出典:Internet Trends 2019

「Jio」がインドに起こしたデジタル革命

石油から小売に至るまで幅広い事業を展開するリライアンス·インダストリーズ。

その社長である大富豪ムケシュ·アンバニ氏は、2016年に「リラインス·ジオ」(以下「Jio」)を設立し、デジタル業に参入しました。350億米ドルを投資し、まだ道路がない地域も含めインド全域を、初の4Gネットワークで覆うことを始めました。最初の時点では無料電話とメッセージ、または無料データ使い放題プランを提供し、半年後にそのサービスを低価格で販売しました。通信業界の平均の4分の1の価格でサービスを提供することにより、遅れて市場に導入されたJioは、インドにおけるデジタル革命を引き起こしています。Jioはヒンディ語で「生きる」を意味します。「我々は通信企業ではなく、デジタルプラットフォームを構築しています。

ミーカー氏のレポートでは、Jioの登場以来インターネットの普及率が急増し、2019年にデータ利用は約18エクサバイト (EB)で、前年の倍になったと述べています。ネットワークのインフラの整備をものともせず、Jioにより映画、音楽、チャット、決済、ニュース、ファッション、多岐にわたるアプリが存在します。ミーカー氏によるとリライアンス社はオンラインとオフラインリテイル(小売)プラットフォームのハイブリッド事業の創業によって、実小売店舗とデジタルのインフラサービスを繋げ、加入者は3億人に上り、一年間でユーザー数を倍に増加させるという業績を達成しました。

アンバニ氏はJioの創立以来こう語ります「我々は通信企業ではなく、デジタルプラットフォームを構築しています」。昨年8月に行われた株主総会では、Jioの可能性について次の通りに説明しました。「同プラットフォームは、リライアンス·リーテイル店舗に3.5億人の顧客、3億人のJio加入者、そして全インドにいる3,000万人の小売商人を繋げます」。アンバニ氏はインフラを整備し、サービス業界の中心人物になると考えられています。

Jioは数億人に安いインターネットサービスを提供しながら、世界のテクノロジー、そして小売企業に市場を開放し、そればかりでなく低所得層者のための商品も開発しています。低額データを利用するための低額Jioスマホ(約1,000円)を販売し、読み書き能力のない人が、音声機能やスワイプで使用できるアプリも開発されています。これによって富裕層と低所得の格差を縮め、デジタル世界へのアクセスを広げています。

関連記事:低額モバイルデータによるパラダイムシフト

Jioが与えるインパクト

Jioが与えるインドの著しいデジタル化への影響を理解するために、ミーカー氏のリポートの他、米経済誌のウォールストリートジャーナルの記事、YoutubeまたはGoogleのインド展開にまつわるニュースを参考し、以下のようにまとめました。

  • 月間データ量は570%に上がる
  • インドでのインターネットユーザー数、そしてGoogle Playストアのアプリのダウンロード件数はアメリカでのダウンロード件数を上回る
  • Jioのスマホはフィーチャー・フォン市場(スマホの下に位置する中位の携帯電話)47%を獲得し、販売シェアでサムソン社を抜く
  • E-コマースの爆発的な成長を引き起こしている
  • Youtube, Netflixのユーザー数は5億人達成し、低額スマホで利用できるようになり、今後間違いなく映像配信は中心になる
  • 地域の多様な言葉でサービスを提供することが重要になる
  • 読み書き能力のないユーザー向け直感で理解できるスマホまたはアプリの開発することが重要になる

予想外にJioはインドに大きな転換をもたらしています。ブロードバンドサービスも提供し始め、デジタルサービス業の急上昇の上、海外または国内のスタートアップ・テックエコシステムにも極めて有益であると思われます。


インドに関して更に詳しく知りたい方は、こちらのメールアドレスへご連絡ください:[email protected]

参考資料

  1. Internet Trends 2019. Meeker, Mary. June 2019.  (Pg 11, Pg 62-63).
  2. Two Years Ago India Lacked Fast, Cheap Internet – One Billionaire Changed All That. Wall Street Journal, September 2018. 
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ユーザーリサーチの説得力

June 7, 2019 By Shivani Gopalkrishna


下記ページから、Googleのユーザーリサーチ調査に参加できます。Googleの製品や機能についての感想を伝えることが可能です。
https://userresearch.google.com

Google地図の事例

デザイン×テクノロジーの境界線で活躍し続けてきたジョン・マエダの言葉です。

The business opportunity for the future thinking designer is inclusion.

John Maeda

Googleは「次の10億ユーザー」を引き込むために多様性があるユーザーをプロダクト設計のプロセスに参加させ、包括的なアプローチを採用しています。インドに行う同社のユーザーリサーチについて説明します。

インドは、Googleのユーザーデータによると、世界最大の二輪車市場です。そのインドで、モーターバイカーがGoogle地図アプリを平均30秒程度で閉じてしまい、活用が進んでいないことが明らかになりました。もともとカーナビとして設計された地図アプリが、広がりつつある新興国のユーザーになぜ好ましくないかの問いへの、答えを見つけるため、インドとインドネシアにエンジニア、UXデザインナ、リサーチャー、プロダクトマネージャー、マーケッター含めた多様なリサーチチームを派遣しました。

ユーザーの環境に没入してリサーチを行った結果、もともとの仮説(ユーザー行動、プロダクトの利便性に関する仮説)は間違いだったと気がつきます。

Googleのリサーチチームはインドのバイカーをインタビューし、一日の生活のパターンの把握につとめ、渋滞が激しい環境でのバイクの乗り方を理解するために乗車風景を撮影しました。遠く離れたプロダクト開発チームが、バイカーが日々どのような生活環境のなかでバイクに乗っているのかを深く理解できるよう、綿密なユーザーリサーチを行ったのです。

結論として明確になったのは、バイカーは二輪車に乗る前に地図アプリを見て方向や目印を覚えるので、その利便性を高めると有用だということ。また、乗車中に活用できる、路線や到着時間の音声ガイドが必要になること。

豊かなユーザーインサイトよりGoogleの地図アプリの改善が行われました。地図アプリに「バイカーモード」を導入したのです。バイカーの利用を意識したインターフェイスは、目印をハイライトするよりシンプルなデザインに変更。渋滞を避けるための代替路線を提示するといった機能も搭載されました。バイカーモードは南米、東南アジア、などでも導入し、500万人のデイリーユーザー数を達成しました(バイカーモードの導入の前、地図アプリのデイリーユーザー数は100万人でした)。

こちらのリサーチプロジェクトについて書かれているGoogleデザインの記事「Designing Maps for Motorbikes」にはユーザーのローカルコミュニティーに入り込み、ユーザーとなる人々と共感し合える関係を築くことはより優れたプロダクトおよびより包摂的なサービスの開発につながると強調されています。

Googleは新興国ユーザー向け地図アプリの他、決済アプリのTez(インド専用)、モバイル定額料金利用が多いことに配慮しYouTubeの仕様を最適化し、オフラインウェブ検索などのローカル化といった新たなサービスが開発されており、同社の「次の10億人」市場を動かしています。

新興国の経済成長と共に、あらゆるユーザーを考慮に入れて包摂的なプロダクトをデザインする必要があります。テックプロダクト以外のサービス・商品の販売においても、対象となる消費者の生き方、環境、ニーズ、希望、直面する課題などを理解することが重要です。

変化が激しい多様性があるインドでの、様々なユーザーを重視するユーザー・エクスペリエンス・リサーチはマーケットのさらなる理解につながります。ユーザーが存在する「文脈」から引き出すインサイトはビジネスのプロダクトの設計の他、ブランド戦略、マーケッティング・コミュニケーションの指針となります。


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インドにおけるYoutubeの急成長

May 15, 2019 By Shivani Gopalkrishna

この1年間でスマホにおけるYoutubeコンテンツ消費は85%増加

4月9日、毎年恒例となったYoutube主催のイベント「Brandcast 2019」 が、ムンバイで開催された。主にインド国内の広告事業者向けとなる本イベントには、Youtube CEOのSusan Wojcicki(スーザンウォシッキー)氏が登壇し、インドでYoutubeのマイルストーンを以下のように共有しました。

  • インドでは毎月、2.65億人がYoutubeのコンテンツを消費しており、Youtubeにおいて世界的に最も急成長しているマーケットである上、最大規模の市場である
  • スマホでのYoutube閲覧者数は、2018-2019年の1年間で85%増加した
  • そのうち60%は6つの大都市(ニューデリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、バンガロール、ハイデラーバード)以外の地方都市や田舎でもある
  • チャンネル登録者数が100万人を超えるチャネルは現在1200件があり、5年前15件しかなかった
  • 学術コンテンツ、職業教育、エンターテインメントなど多様なコンテンツが地域の言語で作成され、コンテンツへのリーチ数が急増している
  • 毎年4000万人の新しいユーザーが登壇
  • 2020年には5億人のインド人がオンラインビデオコンテンツを消費するを見込まれている
  • 3月中旬にYoutube Musicがローンチされて、1週間で300万人が利用を開始した

「Brandcast 2019」には、世界最大級のメディアコミュニケーション・エージェンシーであるGroupM アジア太平洋CEO Mark Patterson(マーク・パターソン)氏も登壇。ここ2〜3年のうちにインドで起きたモバイルビデオ革命をテーマに講演し、ユーザー行動は大いにスマホにシフトしていることを強調しました。インドでの生活やビジネスにYoutubeが広く浸透するにつれて、デジタル広告の重要性も高まっています。ターゲットされた消費者へのカスタム広告配信、よりクリエティブなストーリーティリングが、プラットフォームのファネルを活かした多様なデジタル広告を実現できます。

Pepsiをはじめ、インド大手二輪車Bajaj Auto(モーターバイク製造メーカー)、大手金融機関などが、幅広い層へのリーチが期待できるカスタム広告配信や若年層をターゲットとするためにYoutubeを活用しています。


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低額モバイルデータによるパラダイムシフト

May 14, 2019 By Shivani Gopalkrishna

2019年8月10日に更新

中国最大級のPR会社ブルーフォーカス・グループのソーシャルメディアを専門とする広告会社We Are Socialと世界で900万以上のユーザー数を誇るAndroidのSNS管理ツールHootSuite(フートスイート)運営会社が、インターネット利用状況における有益な調査データを提供していることをご存知でしょうか?これらのデータを参考に、各国におけるインターネット利用およびソーシャル・メディアの普及についての地域特性を分析し、非常に興味深い結果を発表しているのが「Digital 2019」です。

本記事では「Digital 2019 India」より、インドにおけるインターネット普及率またはスマホ・携帯電話の利用に関する重要トピックスをまとめて紹介します。

なお、「Digital2019」は、以下の情報源や、独自調査データよりまとめられています。ご参考ください。

  • GlobalWebIndex、コンシューマープロフィールデータを提供するマーケットリサーチ会社
  • GSMA Intelligence、携帯電話に関する統計・トレンド・業界レポートリサーチ会社
  • Statista、世界の最も充実したオンライン統計データベース
  • Locowise、ソーシャルメディアパフォーマンスを測るプラットフォーム
  • AppAnnie、モバイルデータ・アナリティクスプラットフォーム
  • SimilarWeb、ウェブサイト・アプリのアナリティクス会社
出典:Digital India 2019レポート

2016年は、インドのデジタル産業界にとって、転機となる画期的な年でした。インド系列のリライアンス・インダストリーズが低額携帯電話用ワイヤレスデータの提供を開始したのです。これにより、Eコマース・モバイルバンキングが爆発的に拡大しました。3年経過したいま、Netflix, Amazon Prime, Youtubeなどインド向けコンテンツ事業を手がける企業はもちろんのこと、インドでのビジネス戦略におけるデータ活用がいたるところで進みました。

「Digital 2019 India」に示しているように2018年1月〜2019年1月の12ヶ月では:

  • 2019年1月現在インターネットユーザーは1億人突破目前にまで急増。前年比20%増の成長率。(世界的にも高い成長率)
  • 携帯電話購入者数は3200万人増加
  • ソーシャル・メディアユーザーまたは携帯電話でソーシャルメディアを利用するアクティブユーザー数は6000万人である

インドのインターネット利用の概況を見ると、以下のことがわかります。

  • インターネットユーザー数は5.6億人(人口の41%)今後もインドでは、インターネットユーザー数が急増する可能性が高い
  • スマホでのインターネットユーザーは5.15億人(人口の38%)
  • インドにおけるインターネット利用は圧倒的にスマホが多い。
  • 携帯電話およびパソコンでのインターネット接続速度がそれぞれ改善しています。

スマホの高い普及率

出典:Digital 2019 Indiaレポートより
上記のデータはHootsuiteとWe Are Socialの調査パートナーであるGlobalWebIndexより2018年の第2、3四半期に16〜64歳のインターネットユーザーを対象に行われた調査データを元に、Hootsuiteが分析。

インドでの11億人の携帯電話機の契約者は人口の87%を示しています。契約者の中プリペイド携帯電話が92%で圧倒的に多い。また、携帯電話契約の54%は3Gや4Gのブロードバンド契約であり、今後安いデータの普及につれてインターネットのアクセスも増加されます。

市場規模7億米ドルと評価されるインドオンラインビデオ業界はローカルまたはグロバルのエンタテインメント企業のプライシングとコンテンツに影響を与えています。インドではNetflixとAmazonは激しく競い、その他地域よりインド向けオリジナルコンテンツに投資し、低額の加入費を提供しています。Netflixはインドで世界初のスマホ専用プラン(月額 199Rs=300Yen)を導入することを決定しました。それに適したプロダクト機能(低帯域幅ネットワークでストリーミングを可能にする機能など)または地域の様々な言語への変換など、地方に住む消費者から共感を得るコンテンツを創出することに力を注いでいます。

オンラインビデオプラットフォームYoutubeの著しい成長が反映されるように、今後インターネットストリーミング用テレビ、ゲームまたはスポーツのコンテンツも増加していくことが予測されています。

スマホを使ってオンラインビデオを閲覧するユーザーが多い(91%)。金融機関のアプリの使用率は57%であり、今後、デジタル決済の普及につれてさらに成長していくと考えられます。

E-コマースの展望


出典:Digital 2019 Indiaレポートより
米ドルでの年間消費額であり、対前年比増加(%)が示している。

2018年8月に米ウォルマートはインドE-コマース大手Flipkartを160米ドルで買収しました。世界のEコマース業界における最大規模のM&Aであり、インドのEコマース市場のポテンシャルの高さが伺えます。また、GlobalWebIndexの調査によると1ヶ月以内に調査対象者の74 %はEコマースのプラットフォームを使用したことがあると回答しています。既述の通りインドにおけるインターネット普及率は41%であり、今後スマホの普及やインターネット接続速度の改善、通信環境の整備が進むにつれて、何億人ものインド人が新たにEコマースを利用開始することが見込まれています。右手の画像が示すようにインドにおいてはE-コマースはますます拡大しています。


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